“適切な工夫”の重要性 – 未来への第一歩 3
2026・8/12号を見る
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リハビリテーションという言葉の語源はラテン語です。「リ(re)」は「再び」、「ハビリテーション(habilis)」は「適した状態にする(獲得する)」を意味し、成人の場合、病気やけがで失われた機能を「再び獲得する」という意味で用いられるのが一般的です。
一方、発達段階にある子供が、まだ獲得していない機能を、これから身に付けていくプロセスを「ハビリテーション」と表現します。
平成16年から、国内の支援制度からこぼれやすい点が問題になっていた「知的障害を伴わない成人の発達障害者」を対象とした、独自の「ハビリテーション・プログラム」を開発・実施してきました。対象となる方は、一見すると障害があるようには見えません。発達障害の特性の一つに「マイペース」が挙げられますが、それは決して「他者が嫌い」ということではありません。ただ、他人に歩調を合わせることが苦手なのです。
プログラムの一つに「みんなでカレーライスを作ろう」という調理実習を設けました。その中で、スタッフが「ジャガイモをひと口大に切ってください」と指示したときのこと。「ひと口大」という曖昧な表現がうまく伝わらなかったため、「2センチ×3センチくらい」と具体的に補足しました。すると、メンバーのほとんどが筆箱から定規を取り出し、ジャガイモに当てて正確に測ってから切り始めたのです。2回目の実習では、彼らはもう定規を使わなくても食材を上手に切れるようになっていました。
発達障害のある人は、定型発達(障害のない)の人に比べて、何倍もの時間をかけてゆっくりと成長していきます。たとえば、外出時に忘れ物をしてしまう人は、「前日から目立つ場所に準備する」「物の定位置を決める」といった習慣を繰り返すことで、失敗を減らすことができます。こうした工夫と、周囲の人の「成長を辛抱強く待つ姿勢」があれば、彼らはぐっと生きやすくなります。
プログラムを更新するたびに、多くの発見と感動を与えてもらいました。一人ひとりが多彩な才能を秘めていること、そして“適切な工夫”さえあれば、与えられた役割を立派に遂行できることを教わったからです。
当時プログラムに参加していたメンバーのほとんどは、その後、障害者就労を果たし、自立して生計を立てています。彼らの持つ真摯な姿勢が、さらに活かされる社会が到来することを確信しています。
永吉美砂子・西北分教会教人・リハビリテーションの専門医






