各界の著名人が語る“人生の軸”とは – 『すきっと』第43号
光ることば 特集テーマ「Integrity 誠実に生きる」から
「すきっとした気分で暮らすために」をコンセプトに、著名人へのインタビューや対談などを掲載しているインタビュームック『すきっと』の最新第43号が、9月1日に発売された。今号は「Integrity 誠実に生きる」をテーマに、俳優の常盤貴子さんのインタビューをはじめ、騎手の武豊さんと元JRA調教師・角居勝彦さんとの対談など、各界の一線で活躍する著名人が、自らの歩みの中で大切にしている“人生の軸”について語っている。さらに、人気コーナー「この道」では、保津川遊船企業組合代表理事で、本紙でも連載エッセーを担当した、豊田知八さん(嵐山分教会教人)に、仕事をするうえで心に置いている信念について伺った。ここでは、各コーナーの中から著名人が語る“光ることば”をピックアップして紹介する。
出会った人たちの笑顔が見たいから…
俳優 常盤貴子
私たちは何事においても線を引いてしまいがちです。たとえば、「俳優の仕事はここまで。ここからはスタッフの仕事」だとか。国と国とはもちろんですけれど、小さな町でも、隣町はこうだけれども、こっちの町はこうだって。その線は誰が引いたんだろう。
たぶん、人は線を引いたほうが楽なんですよ。ここからこっちはあなた、こっちは私ってね。でも、それをやめた途端、自由にどっちも私、どっちもあなたでいいねってなる。自分の線は自分で引くものだから、自分次第でいくらでも消すことができる。そうすると風通しが良くなって、人との関係性も自分で変えることができる。だから、そういう線がなければ平和な世界になるんじゃないかと思いますね。
「山梨のために戦いたい」 故郷への思いが開いた世界への扉
ワイン醸造家 三澤彩奈
私は海外での経験から、あることに気づきました。優れたワインがある土地には、人が集まり、畑が守られ、豊かな文化が継承されているということです。逆にいえば、地域の伝統を守るためには、「良いワイン」が必要なのです。ワインを広めよう、産地を発展させようという取り組みはもちろん大切です。しかし、その中心に本当に優れた一本がなければ、人は振り向いてくれません。
やがて私は、「良いワインをつくること」が地元への最大の貢献だと考えるようになりました。畑も、土地も、人も、その一本のワインから守られていく。その思いは、いまも変わっていません。
ものづくりは、とても正直です。効率だけを考えれば、省ける工程もあるかもしれませんが、手をかければ、そのぶんだけ品質に返ってきます。良いものをつくるために、妥協しないこと。それは特別な信念というより、醸造家として当たり前の姿勢なのだと思います。
失われた伝統を未来へつなぎ――相撲浮世絵師が描く、伝説の一戦
相撲浮世絵師 木下大門
私は浮世絵師ですが、厳密に言うと肖像画家なんです。肖像画家は人の顔形を描くことが仕事なので、その人の性格をどこまで表現できるかを一番に考えています。現役力士は顔や性格まで分かるので、その人のことをなるべく調べて、体つきはもちろん、雰囲気まで本人に似せて描くようにしています。
やはり良いものを作るには調べることが大事です。絵は、分からないことを克服しないと描けません。
肖像画であれば、直接会って話をする。できるだけそういう体験をすることで、作品への気持ちの入り方が変わるのです。より良い作品を作るためには知らないといけないことがたくさんある。それをどこまで探求できるかですね。
葛飾北斎は、七十歳を過ぎてから『冨嶽三十六景』を描き始めるなど、年を重ねて一層精力的に活動するようになりました。才能は遠く及びませんが、年輪を重ねて仕事をしていくという生き方は真似したいと思っています。
先は見えずとも道は続く――保津川下りとともに歩んだ三十年
保津川遊船企業組合代表理事 豊田知八
誰でも若いころは、仕事、肩書、学歴などで自分を武装するじゃないですか。それを全部取り払ったとき、自分って一体何なんだろう、と考えました。そして、だんだん、「ああ、これが素の自分なんだ」というものが見えてきたんです。
それまで私は、物事はなんでも「為せば成る」と思っていたんです。どんなことでも強い意思を持って行動すれば、必ず実現できると。でも修養科で、「成ってくるのが天の理」という言葉を教えてもらった。ああ、そうなんだと腑に落ちた。すると、肩の力がすうっと抜けたんです。
私は何事にも計画は大切にするんですけど、信じてはいないんです。結局、川と一緒で、先の流れがどう変化するか分からないから、その時々に合わせていく、ということです。
流れに乗りながら、流れに流されない。これは船頭も、経営も、人生も、全く一緒です。
先のことは分からない。けれども、きっと道はある。自分の思い通りにならなかったとしても、違う何かが得られるはず。すべては導かれているがゆえのこと。だから、お願い事は一つだけです。「神様、きょうも導いてください」。
ご登場の主な方々
武豊/角居勝彦/小平尚典/西薗和泉/手嶋龍一/中江有里/羽成守/平葉子/市川新十郎/大杉栄嗣/天野忠幸/片山恭一/土佐信道/岡田正彦










