病む人の「陽気ぐらし」目指して – 特別企画「天理よろづ相談所」開設60周年
2026・9/23号を見る
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「笑顔と親切」をモットーにからだ・こころ・くらしを支え
公益財団法人天理よろづ相談所「憩の家」(増野正俊理事長)は今年、開設60周年の節目を迎えた。天理教校内に開設された「天理よろづ相談所」を前身とする、天理よろづ相談所「憩の家」は昭和41(1966)年開設。「病む人の陽気ぐらし」を掲げ、病む人に医療を施す(身上部)、心の救済を目指す(事情部)、生活面を支援する(世話部)の各面からサポートする“全人医療”を目指して歩みを進めてきた。この特別企画では、「憩の家」創設の理念をあらためて振り返るとともに、「笑顔と親切」をモットーに、「からだ・こころ・くらし」を支える同所の取り組みを紹介する。
よろづたすけの理念を拠り所に
「天理よろづ相談所」は昭和10年、天理教校内に開所。教祖50年祭と立教100年に向け、天理教教師を6カ月かけて養成する同校別科の志願者が急増するなか、さまざまな身上や事情を抱える志願者に対し、当初から医療・相談・厚生の三部から成る組織として寄り添ってきた。
12年、私立病院として認可され、内科・小児科・眼科・レントゲン科の4科で診療をスタートした。
41年、「財団法人天理よろづ相談所」として認可を受け、現在のおやさとやかた西右第2、3棟に開設。愛称を「憩の家」とした。
創設者の中山正善・二代真柱様は「よろづ相談所、それは、よふきぐらしの世界となる様、達者な人や病める人の間に立つてお世話する所であります。病院のみを運営するのではなく、達者な人々の相談に応じて、よふきぐらし世界となる様、教理に基づいてお世話するところであります」と述べられている。
また、二代真柱様は41年の開所式において「この家に集まって来られる方には、自分の出来る限りに於て、自分の喜びを伝える意味に於て、親切に扱って頂きたい。この親切を第一のモットーとして考えて頂きたい」と述べられ、これを受けた諸井慶五郎所長(当時)が「笑顔と親切」をモットーとして、「憩の家」ならではの特色ある病院作りをしていく旨を表明した。
さらに、開設10周年の節目には、中山善衞・三代真柱様は「憩の家」で勤める職員に対して「親切にして頂くということに加えて、喜びをもって帰ってもらえるように、皆さん方も一つ、それぞれの立場で努力をして頂きたい」と求められた。
創設の理念に基づき、身上部・事情部・世話部の三部鼎立によって、病気だけでなく心と生活に向き合う「全人医療」を広く提供してきた。
10年前の開設50周年記念式典において、真柱様は「形の継承もさることながら、何よりも肝心なことは理念の継承だと思う」と明示。組織が大きくなり、環境が整備されて快適になる中にあっても、折にふれて「憩の家」開設の趣旨に照らして襟を正すことを忘れてはならないと指摘されたうえで、「伝統に根ざしたよろづたすけの理念を拠り所に、陽気ぐらしの世界へ向かって、大切な役目を担っているということを自覚して、今後も努力をしてくださるよう」と求められた。
レジデント制度も50周年
「憩の家」は昭和50年、全国に先駆けてレジデント制度(総合診療方式による医師教育)を導入。翌51年の正式な制度のスタートから50年を迎えた。“天理方式”の名で知られ、初期臨床研修において最初の2カ月間、総合内科で基本研修を受け、計1年間の内科研修を軸に「主治医力」を鍛える。総合内科朝カンファレンスなどの教育行事が組み込まれ、多くの医師を輩出してきた。
昨年4月、新たに就任した日村好宏・「憩の家」院長も6期生としてレジデント制度の研修を受けた。日村院長は「当院独自のレジデント制度は、『病だけでなく病む人を丸ごと診る』医療を実践できる医師を育てるために生まれました。50周年の節目に当たり、私自身が学んだこの理念を未来の医師たちへ温かく手渡してまいります」と話している。
最新の医療設備が充実
「憩の家」では開設当初から最先端の医療設備が整えられてきた。
近年では手術支援ロボット「ダビンチXi」2台を導入。ロボット支援下手術は累計2000件を超えるという。
また、京都大学と連携し、がんゲノム外来などを実施。循環器内科でも最先端の構造的心疾患治療にも対応するなど、大学病院水準の医療が受けられる体制が整えられている。
開設60周年を記念し、同所のホームページでは、診療科部長のインタビュー記事を掲載。高度急性期の総合病院として、より安全、より有効な治療を目指す思いを語っている。
地域の命を守る新体制も
昨年、天理よろづ相談所病院は、地域医療支援病院の承認を受けた。地域の中核病院として、地域の診療所・クリニック等では対応困難な専門的な治療や高度な検査・手術を行い、“地域完結型医療”の中心的役割を担うことになった。
また今年には、大規模災害時に広域から重篤患者を受け入れる拠点となる地域災害拠点病院にも指定された。これまでもDMAT(災害派遣医療チーム)が「令和6年能登半島地震」や、今年8月に発生した「令和8年熊本地震」の被災地にも出動している。
健康診断事業にも注力
同所では「かりもの」の身体を大切に使うための取り組みとして、人間ドックをはじめとした健康診断事業にも力を入れている。
さまざまな生活様式に合わせて、「1泊2日ドック」「日帰りドック」「トワイライトドック」の三つのコースを用意。異常が見つかれば、専門科で治療を受けることができる。
年に1度、おぢば帰りした際に利用することなどを呼びかけている(要予約)。
なお、今年6月の「憩の家講座」では「教えて! 人間ドックのミカタ」をテーマに、辻井悟・健診センター長が講演。ホームページでは、最新のさまざまなテーマの講座情報や、過去の講座のダイジェスト版を見ることができる。
天理よろづ相談所病院ホームページ
https://www.tenriyorozu.jp/
病める人に向き合い 心たすかる病院として
談話 山中忠太郎・総長
病気をきっかけに心を入れ替え、陽気ぐらしのできる人間にならせていただく、というのが本教の教えの本質の一つであると思います。
そのために、当院では病気の治療と同時に、患者さんの心がたすかってもらえるように努力する。教祖の膝元である親里に帰り、そこで病気の治療と心のたすかりを目指すことは、今も昔も変わらず、大きな意味があると考えています。当所には「神様と向き合いたい」という患者さんの思いを支える仕組みがありますし、そこが一般の病院との大きな違いであると思います。
前身である「天理よろづ相談所」時代から、医療・相談・厚生の三部から成る組織で患者さんに寄り添ってきました。世の中の仕組みが移り変わり、それに応じて提供する医療や建物などは新しくなりましたが、当院が目指す本質は何も変わっていません。
これからも、高度医療ができる病院であることはもちろんですが、それを求めるあまり機械的な対応に終始するのではなく、病める人に向き合い、温かさを提供する。そんな、心がたすかる病院であり続けることを大切にしていきたいと思います。
医療ようぼく育成制度
「憩の家」では、看護師・薬剤師・放射線技師など幅広い職種を対象とした「医療ようぼく育成制度」(奨学金)を、開設当初から設けている。また、天理大学医療学部看護学科で学ぶ学生への奨学金(授業料補助)も実施。来年度の募集要項などは、ホームページから確認できる。
60年の歩み
昭和10(1935)…「よろづ相談所」が天理教校内に開所

昭和41(1966)…法人認可 おやさとやかた西棟に開設
昭和42(1967)…天理看護学院 天理医学技術学校開設
昭和50(1975)…レジデント制度開始
平成15(2003)…白川分院開設

平成18(2006)…外来診療棟竣工
平成23(2011)…公益財団法人認可
平成24(2012)…天理医療大学開学
平成26(2014)…東・西病棟竣工
令和5(2023)…天理大学医療学部設置
令和7(2025)…「地域医療支援病院」承認
令和8(2026)…開設60周年
1966~2025年 診療実績
外来患者延数…約3073万5000人
入院患者延数…約1465万8000人
手術件数(外来)…約18万7000件
手術件数(入院)…約37万9000件
分娩件数…約3万6000件
心に残るエピソード募集中
現在、「憩の家」では開設60周年の節目に、同所の思い出の写真や心に残るエピソードなどを募集している。詳しくは、応募用のLINEアカウントまで。
https://lin.ee/3iyrpgQ











