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球場に届いた「旬の風」- わたしのクローバー


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野口良江(天理教栄基布教所長夫人)
1977年生まれ

思わず鳥肌が

もう何年も前から、夫婦で一人の野球選手を応援しています。天理高校からオリックス・バファローズにドラフト1位で入団した太田椋選手です。高校時代には県大会から甲子園まで、プロ入り後は野球中継やスマホのアプリで戦況を見守りながら、ここぞという時には球場に駆けつけ、エールを送り続けています。

昨年の9月、試合前の球団のイベントで天理高校吹奏楽部の演奏があると聞き、夫婦で京セラドームへ行きました。大型ビジョンに「天理高等学校吹奏楽部」の文字が映し出され、「感謝と喜びを胸に」との紹介アナウンス。球場全体を包み込むような、低く力強いファンファーレがゆっくりと鳴り響きます。

「おっ、天高のブラバンや」と、後ろの席から声が聞こえました。私たちにとってそれは、とても誇らしい瞬間でした。高校野球ファンにはおなじみの重厚なその音に、観客はみな聞き入っていました。

太田選手は、懐かしいその音を受け取ったかのように、ベンチ前に出て素振りを始めました。すると、次に流れてきたのは『旬の風』、教祖140年祭活動のイメージミュージックです。思わず鳥肌が立ちました。

グラウンドにいる選手やスタッフ、そして3万人を超える観客に、あの『旬の風』が届けられたのです。この曲を初めて耳にしたという人が、ほとんどではないでしょうか。

プロ野球の球場で、野球の応援歌でなく天理教の曲が演奏されたことに大きな喜びを感じるとともに、創部90年を迎える天高吹奏楽部の伝統の力を、あらためて感じました。

待ちに待った瞬間

その翌月のこと。私の誕生日に息子が、ファンクラブの入会をプレゼントしてくれました。特典で、何試合かの観戦ができます。おかげで今年はたびたび応援に行けています。

チームは優勝争いから遠のいていますが、太田選手は3年連続でオールスター戦のメンバーに選ばれるなど、眩しいほど輝いています。

そして7月5日、待ちに待った瞬間が訪れました。私がずっと、この目でじかに見たかったホームランです。解説者は「完璧な当たり!」と声を上げました。

大歓声の中、ゆっくりとダイヤモンドを一周する姿が、「天理」のユニフォームで私たちを熱狂させた高校時代の姿と重なり、熱い気持ちになりました。試合後、カメラを確認すると、私の大好きなフルスイングがボールと一緒にきれいに写っていて、喜びが倍になりました。

背番号1の大きな背中。夢を追いかけるその姿は、子供たちをはじめ見る者みんなに元気をくれます。太田選手だけではありません。「天理」の文字を背負って各地で活躍する人たちの姿や、「一手一つ」の心に勇気づけられている人も、きっと多いはずです。

イラスト・ふじたゆい

大きなことはできなくても、それぞれが与えられた徳分を生かして、みんなのために全力を尽くす。その積み重ねが誰かの喜びにつながり、また誰かを励ます力になるのです。

あの日、球場に響き渡った『旬の風』は、人を思う心の尊さを、私たち夫婦にあらためて教えてくれました。そしてこの夏も、甲子園球場に爽やかな「旬風」が吹きました。


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