伝道史に見る「にをいがけ」- 視点
2024・9/25号を見る
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この9月は「全教会布教推進月間」と銘打ち、実動が促されている。
SNSでは連日、教友の晴れやかな表情や勇んだ活動の様子が投稿され、勇み心を頂戴している。
にをいがけは、「種まき」に例えられる。目に見える成果や結果がすぐに表れなくても決して無駄はない。種まきの匂いは、相手の心のどこかに残り、それが時節の到来を待って芽を吹き、花を咲かせ、実らせる。
天理教伝道史の第一人者である高野友治氏の指摘によると、本教における布教活動は嘉永6(1853)年のこかん様による浪速布教に始まるが、その結果については、詳しくは伝わっていない。しかし、それから20年30年を経て、大阪の道は素晴らしい勢いで伸び、日本各地の道は大阪を起点として拡がっていった。
そして明治20年代、各講社による伝道線を経て、道は各地へ伝わっていく。ところが、それ以前に、行商人や巡礼人、出稼人などによって、おぢばの有り難さや、教祖の不思議を語る話は、すでに伝わっていた。「にをいがけ」がすでになされていたというのである(高野友治著『天理教伝道史Ⅰ』)。
これら行商人や巡礼人などは、お道の信仰をはっきり持たない人が多かった。しかし、お道の信仰者の人柄や、熱心に人を導く様子、教えのままに損得を忘れてひのきしんをする姿などを見聞きし、心打たれ、結果として、お道の存在を各地に伝え歩いてくれたのである(『天理教校論叢』第23号参照)。
「精神一つの理によって、一人万人に向かう。神は心に乗りて働く」(おさしづ明治31年10月2日)と教えられる通り、ようぼくの誠の精神、誠の行いを、親神様はしっかりとご覧になられており、その心に乗ってお働きくださるということを物語っている。
月末には恒例の「全教一斉にをいがけデー」も実施される。厳しい暑さは続くが、声をかけ合い、一言はなしのにをいがけに勇んで真実の種をまかせていただこう。
(山澤)






