“寄り添い型”のおたすけ – 視点
2025・2/12号を見る
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2024年の文部科学省による報告から、2023年の全国の小中学生の不登校児童・生徒数は34万人余りで、11年連続で増加していることが分かった。また、一昨年に報告された内閣府調査によると、いわゆる「ひきこもり」の人は、15歳から64歳までの年齢層の2%余りに当たる推計146万人に上り、どちらも過去最高となっている。
これらの要因には、コロナ禍による社会環境の変化が大きく影響していることが挙げられる。なかでも、ひきこもりについては、若年層よりも40歳以上の中高年層が多く、その約半数が女性だという。さらに、80代の親が50代のひきこもりの子供を養う「8050問題」も、ますます深刻化している。
こうしたなか、自治体による支援のあり方として、従来の就労を目的とする「問題解決型」から、継続的に関わる「寄り添い型」への転換が求められている。これは、短期間で問題解決を図ろうとする支援や、一方的に個人を社会に適応させていく支援には限界があることを示唆するものだろう。長期間にわたって一人ひとりに寄り添う中で信頼関係を築き、悩みを聞く中で、社会につながるきっかけをつくることが必要とされている。これを「伴走型支援」ともいい、深刻化する社会的孤立に対応するために「つながり続けること」を目指す。
お道のおたすけにも同じことがいえる。病気が治る、事情が治まるといった「問題解決型」だけではなく、今後は「寄り添い型」「伴走型」のおたすけを意識していくことが欠かせないだろう。不登校、ひきこもり、精神疾患、依存症、発達障害、高齢者の孤立など、現代社会が抱える“難渋”には、当事者やその家族とつながり、寄り添い続ける中で共に歩んでいくおたすけが必要とされる。
天理教の教会では古くから、社会の中で孤立した人や社会に適応できない人を住み込み人として抱え、共に歩んできた歴史がある。孤独・孤立問題が急激に進む現代社会にあって、私たちようぼくが周囲に心を配り、積極的に声をかけ、親身に寄り添い、信頼関係を築くことが求められている。そして、その人をお道に、教会に、おぢばにつなぐ働きをしていくことが肝要である。ようぼくが困難を抱える人と接点を持ち、つながることからおたすけは始まる。
(村田幸)