令和3年春の叙勲・褒章
お道の教え胸に社会に尽くして
国家や公共への功労や、各分野での優れた行いに対して贈られる恒例の春の叙勲・褒章が、先ごろ発表された。今回は、叙勲4,136人(うち女性428人)、褒章685人(同181人)がそれぞれ受章。お道の教えを胸に、長年にわたって地域社会に尽くしてきた教内の受章者を紹介する。
被害者の心に寄り添い
旭日小綬章
滋賀の平井紀夫さん
平井紀夫さん(80歳・八日市分教会湖平布教所長・大津市)は、長年にわたり国内の犯罪被害者支援に貢献した功績から「旭日小綬章」を受章した。
平成8年、長男・明夫さんが旅先で事件に巻き込まれ、帰らぬ人となった。平井さんは当時、京都で勤めており、平成10年に「京都犯罪被害者センター」が新設されると理事に就任。また、平成24年から8年間、48カ所のセンターを統括する「全国被害者支援ネットワーク」の理事長を務めた。さらに、早朝や深夜の相談にも対応する「犯罪被害者等電話サポートセンター」を創設するなど、支援体制の拡充に尽力。現在も「全国被害者支援ネットワーク」の特別顧問などを務めている。
“当事者”として被害者の心に寄り添ってきた平井さん。「支援に取り組む中で、自分自身が成人をさせていただけたように思う。これからも使命感を持ち、一人でも多くの人を支援できる体制をつくりたい」と話す。
(滋賀・鈴木社友情報提供)
日本の英語教育を研究
瑞宝中綬章
兵庫の末延岑生さん
末延岑生さん(80歳・扇生布教所教人・神戸市)は、英語教育研究の功労から「瑞宝中綬章」を受章した。
昭和41年に関西学院大学大学院で修士号を取得後、同高等部で教鞭を執った。その後、62年に神戸商科大学(現・兵庫県立大学)教授に就任し、平成18年には同大名誉教授。このほか、ハワイ大学イーストウエスト・センター客員研究員、日本「アジア英語」学会理事などを歴任した。
学生時代、ネイティブ(現地人) の発音と文法の習得を目指す日本の英語教育に疑問を抱いた末延さんは、半世紀にわたって“カタカナ英語”を研究。「ニホン英語」などをテーマに100本近い論文を執筆し、国際的にも高く評価されている。
末延さんは「言葉は、親神様が人間に陽気ぐらしをさせようと仕込んでくださった最も重要な道具だと信じ、研究を積み重ねてきた。目標は変わらず、子どもたちが楽しんで学べる英語教育を実現すること」と話している。
地方行政に長年尽力
瑞宝小綬章
奈良の阪本勇司さん
阪本勇司さん(73歳・宇陀分教会ようぼく・宇陀市)は、長年にわたって県職員として奉職し、行政に貢献した功績から「瑞宝小綬章」を受章した。
小学生のころから公務員を志していたという阪本さん。昭和41年に地元の高校を卒業後、奈良県庁に就職した。農政課や財政課などで勤務し、40年にわたり県民の福祉の向上や県予算案の編成に当たり、市町村財政などの業務に従事した。さらに、人事委員会事務局長、議会事務局長などの要職を歴任した。
平成18年に退職後、財団法人「健やか奈良支援財団」へ。高齢者の生きがいと健康づくりを推進する事業や、子育て支援事業などに4年間携わり、常務理事も務めた。
日ごろの感謝の思いを込めて、在職中から本部月次祭への参拝を心がけてきたという。
「このような栄誉ある章を頂けたのは、職場の先輩や同僚に支えられ、数多くのご縁に恵まれたおかげ。これまで多くの方々から頂いてきた恩に報いることができるよう、これからも世のため人のために、自分にできることを実行していきたい」と語った。