東京オリンピック直前特集 – 大舞台を陰から支え
7月23日の開幕予定まで残り1カ月を切った「東京2020オリンピック」。天理勢は2大会連続の金メダル獲得が有力視される柔道男子73キロ級代表の大野将平選手(天理大OB)を筆頭に、多くの選手が出場する。こうしたなか、オリンピックの大舞台に立つ選手たちを陰からサポートする“裏方”にもようぼくの姿が。ここでは、試合を公平に捌く「審判員」と、五輪選手を育てた「コーチ」の二人を紹介する。
公平公正で厳正な笛を
レスリング競技審判員 小池邦徳さん
天理教校学園高校職員で、天理大学レスリング部監督の小池邦徳さん(40歳・喜多報恩分教会ようぼく・天理市)は、東京五輪レスリング競技に審判員として参加する。同競技の日本人審判員は二人だけ。小池さんは五輪初参加となる。
教会で生まれ育ち、天理教校親里高校(当時)でレスリングと出合い、天理大でもレスリングを続けた。
その後、教校学園高レスリング部コーチとして部員を指導する傍ら、審判員の資格を取得。レスリングには国内審判C、B、A級、国際審判3、2、1、1S級の七つのカテゴリーがあり、小池さんは現在1S級。世界各地の主要大会で審判を務めている。
東京五輪審判員の選考は、3年前の世界選手権に参加した1S級審判員の約80人が対象。国際大会での審判の技術を10点満点で厳しく評価され、翌年の世界選手権、各大陸の五輪予選、世界予選を経て、約50人が五輪の審判員に選出される。
昨年3月から今年3月までの約1年間は、新型コロナウイルスの影響で国際大会への参加はなかったが、4月末にはアジア予選、5月には世界予選が行われた。計80試合を捌いた結果、その能力が高く評価され、東京五輪の審判員に選ばれた。
小池さんは「強い者が勝つ、公平公正で厳正なリングになるよう、ニュートラルな立場で大会に臨みたい」と話した。
教え子二人が“世界”へ
飛込代表選手のコーチ 毒島泰士さん
毒島泰士さん(40歳・西群馬分教会ようぼく・東京都北区)がコーチを務める、男子シンクロナイズド高飛込の村上和基選手(32歳)と伊藤洸輝選手(21歳)ペアが、東京オリンピック日本代表に選出された。
毒島さんは小学生で高飛込を始め、大学までさまざまな大会で好成績を収めた。卒業後は母校の前橋育英高校で教職を10年間勤め、「JOC(日本オリンピック委員会)エリートアカデミー」に所属。当時、中学3年生だった伊藤選手をスカウトして指導に当たる。一方、村上選手も学生時代に通っていたクラブの後輩で、前橋育英高時代の教え子でもある。
両選手がペアを組んだのは3年前。当時は生活拠点が異なるため、そろって練習する時間は少なかったが、2年前、毒島さんが東京スイミングセンターのコーチに就任したのをきっかけに村上選手が東京へ移り、本格的に指導を始めた。
練習では、互いの動きの癖をなくすために、あらためて体づくりから指導。国立スポーツ科学センターのトレーナーと連携し、演技の映像を分析しながら修正を繰り返した。
「ベテランの村上選手と競技生活を送ることで、伊藤選手の実力が底上げされた。お互いの動きに対する理解も深まっている」と毒島さん。
こうして、代表選考会を兼ねた5月のワールドカップで好成績を収め、五輪代表選手に。
毒島さんは「五輪開催までの期間に病気やけがなどがなく、いつも通りの練習が続けられるように、心のコンディション調整に気を配りたい」と語った。
(群馬・正田社友情報提供)