第2部の始まりに寄せて やわらかく温かみのある世界へ – ふたり
作者 片山恭一 第2部では、青年になったカンの話を書こうと思っています。高校を卒業したカンは、就職をせずにバックパックを背負って世界を放浪します。そのなかで少しずつ言葉を取り戻していく。そういうことっ・・・
作者 片山恭一 第2部では、青年になったカンの話を書こうと思っています。高校を卒業したカンは、就職をせずにバックパックを背負って世界を放浪します。そのなかで少しずつ言葉を取り戻していく。そういうことっ・・・
人間の生の原型は「ふたり」ではないか。「ふたり」という原型を、一人ひとりの「自分」という仕様で生きている。そんな気がします。もとのかたちが「ふたり」だから、ぼくたちは動物たちとは違った意味で苦しんだり・・・
11月17日号をもって、全40回の連載を終えた『ふたり――星の降る夜は』(第1部)。読者から好評の声を頂き、続編となる第2部の連載を来年1月にスタートする。ここでは第2部開始を前に、著者・片山恭一氏に・・・
その日、わたしたちはハハの運転する車で海にでかけた。いつも散歩する砂浜ではなく、波乗りをする連中が好む海岸、トトがいうところの「ビーチ」だ。 「海の季節は地上よりも三カ月くらい遅れているんだよ」。海辺・・・
作/片山恭一 画/リン 前話のあらすじトトの死から立ち直れずにいるカン。落ち込んでいる姿を見たツツは、ツツなりのやり方でカンを励ましていた。 第38話 Tシャツ、交換しようか 棚田の稲が黄金色に実った・・・
空はすっかり秋の装いだった。波に反射する光や、海を渡って吹いてくる風の匂いから、季節が少しずつ進んでいることがわかった。 「おとうさんが言うには、亡くなった人は隠れることはできるけど、離れることはでき・・・
その夜、カンはベッドのなかで泣いていた。トトが亡くなってからはじめてのことだった。嗚咽を押し殺して、あの子は長いあいだ泣きつづけた。 彼はトトのために泣いていた。ハハのために泣いていた。そして自分のた・・・
トトの死とともに、夏休みはあっけなく終わってしまった。町を歩きまわったり、パンを焼いたりしているうちに新学期になった。 九月の終わりには、ホテルでの仕事を終えてツツたちは町を離れることになっている。そ・・・
夜更けにハハは電話で誰かと長く話し込んでいることがあった。会話の一部は、床に寝そべっているわたしの耳にも入ってくる。 「なくしたものにしがみついてばかりいる」と彼女は言った。「あの人のことを考えずに済・・・
作/片山恭一 画/リン 前話のあらすじトトの葬式後、カンは夜中に目を覚ますことが増えた。その姿を見たピノは、カンが自分の選択を後悔しているのではないかと心配していた。 第33話 どっちを選んだ? ハハ・・・
作/片山恭一 画/リン 前話のあらすじトトのお葬式から数日後、ツツ、サユリさんがやって来た。ツツはカン、サユリさんはハハに寄り添ったが、ふたりの心の傷は深かった。 第32話 一週間後の結婚記念日 坊さ・・・
作/片山恭一 画/リン 前話のあらすじ夏休みのある日、カンの父トトが亡くなった。カンは、失意のあまり、以前のような“道迷い”が再発する。カンと同様に、ハハも大きなショックを受けていた。 第31話 トト・・・
作/片山恭一 画/リン それは海だった。トトが何よりも愛した海が、あの子と、あの子の幸せのあいだに割り込んだ。二つのものは、世界中の海を集めたよりも広く、遠く隔てられてしまった。 トトの家は代々が医者・・・
作/片山恭一 画/リン 前話のあらすじ一言主に願を掛け、ツツ一家に降りかかろうとしていた災いを取り除いたカン。肩の荷を下ろしたカンは、海でツツ、ピノと水遊びを楽しんだ。 第29話 夏休みの明るい午後 ・・・
作/片山恭一 画/リン 前話のあらすじ島と陸がつながる日。深夜、島へ渡ったカンとピノは、願い事をするために祠の前に立つ。そのとき、唸り声のような潮がうごめく音が聞こえた。 第28話 帰ろう、カン 潮だ・・・
作/片山恭一 画/リン 海風が陸風に変わる夕暮れどき、吹くともない風に乗ってその情報はもたらされた。今夜、いよいよ島と陸がつながるらしい。 夕食を終えると、カンはいつもより早めにベッドに入った。出かけ・・・
作/片山恭一 画/リン 前話のあらすじカンは毎日浜辺に出て、一生に一つだけ願いを叶えてくれる神社がある島を眺めていた。ツツたちが遭遇するであろう惨劇を予感し、なんとか回避したいという思いからだった。 ・・・
作/片山恭一 画/リン いつかトトが言っていた。大人になるといろんなことが見える。だから大人はみんな苦しそうな顔をしている。カンは大人ではないから苦しみを顔に表さない。だが人知れず思い悩んでいることに・・・
作/片山恭一 画/リン その夜、ホタルは夢のなかにまで飛んできて黄緑色の光を点滅させた。どうやらわたしの夢を美しく照らしてくれるつもりらしい。宙を舞う光に誘われるようにしてフウちゃんが現れた。 「そろ・・・
作/片山恭一 画/リン 前話のあらすじカンは本に大きな関心を示すようになる。ピノは、トトとハハ同様に不安や期待、寂しさなど複雑な心境でカンの変化を見守っていた。 第23話 少年カンは「本の虫」 土曜日・・・