天理勢4人目の全日本V – 天理高校・天理大学柔道部OB 中野寛太選手
2024・5/22号を見る
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天理高校・天理大学柔道部OBの中野寛太選手(23歳・飛鳥分教会ようぼく・旭化成所属)は、4月29日に東京・日本武道館で行われた「全日本柔道選手権大会」に出場。無差別級で争われる同大会で、6度目の挑戦で初優勝を果たした。同大会の天理勢の優勝は4人目で、穴井隆将・天理大がく柔道部監督以来、11年ぶりの快挙。また、大会後の5月4日には真柱様と面会し、当日の試合内容などをお伝えした。(15日記)
父、二人の兄、姉が柔道経験者という中野選手。自身も5歳から柔道を始めた。奈良県内の道場へ通い、「こどもおぢばがえり」の「みちのこ武道大会」に毎年参加してきた。小学6年時には、「全国小学生学年別柔道大会」50キロ超級で3位入賞した。
天理中学校、天理高校、天理大学で主将を務め、天理高校では27年ぶりとなる「全国高校総合体育大会」団体の部優勝を経験。さらに天理大学では、「全日本学生柔道体重別団体優勝大会」で初優勝に輝き、チームを29年ぶりの全国大会優勝に導いた。
卒業後は旭化成に所属。天理大学を拠点に活動を続け、2023年11月の「講道館杯全日本柔道体重別選手権大会」では、男子100キロ超級で初優勝の栄冠を手にした。
恩師の胸を借りて特訓
気持ちを鍛え全日本へ
2024年4月、優勝を目指して臨んだ「全日本選抜体重別選手権大会」では初戦敗退。「チャンピオンとしての気負い、緊張があった」と振り返る中野選手。すぐに天理大学へ赴き、恩師の穴井監督の胸を借りて、1週間みっちりと稽古した。
このたびの全日本選手権は、8年ぶりに旗判定が導入され、延長戦は行われない。これに備え、試合時間中に攻め続けられるよう、早いペースでの乱取りを繰り返してきた。「毎日のように全身が攣って、本当にきつかったが、この稽古を乗り越えた達成感とともに、前に出ていく気持ちが鍛えられた」と話す。
迎えた全日本選手権。旗判定の試合は「小学生ぶり」というが、「5分という決められた時間。その使い方を組み立ててから試合に臨めるので、むしろやりやすかった」と語る。調子は悪かったと打ち明けるが、優勝への執念で組み合いを制し、トーナメントを勝ち上がっていく。
決勝の相手は、リオデジャネイロオリンピック男子100キロ超級で銀メダルを獲得した、原沢久喜選手(31歳・長府工産所属)。
試合開始から中野選手は要所要所で冷静に技を仕掛けていく。激しい攻防が繰り広げられるが、互いに有効な技を決められない。終盤、原沢選手の猛攻を中野選手がしのぎきり、2-1の判定勝ちで今大会初優勝を決めた。天理勢の全日本選手権優勝は、正木嘉美氏、篠原信一氏、穴井氏に続く4人目の快挙となった。
中野選手は「夢に出てくるほど望んでいたタイトルを獲得でき、両親や天理の方々をはじめ、多くの人に喜んでもらえたことがとてもうれしい。天理の先輩方は皆、全日本を複数回獲っているので、もう一度、優勝を目指したい。パリ五輪の後にはロサンゼルス五輪の選考を兼ねた戦いが始まるので、この大会を制した自信を胸に、必死に戦っていく」と話した。
中野選手は、5月19日からアラブ首長国連邦・アブダビで行われる「世界柔道選手権大会」男子団体に出場する。
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なお中野選手は5月4日、本部玄関で真柱様にご面会。当日の試合内容などをお伝えした。