天理時報オンライン

相手に寄り添うおたすけ – 三年千日 ひながたと私


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2024・6月号を見る

梅井真治(大名港分教会長・54歳・福島県いわき市)

人と人との心の絆が弱まりつつある現代、じっくりと相手の言葉に耳を傾けることが大切であると思います。

私は17年前、地元で「傾聴ボランティア養成講座」を受講したのをきっかけにボランティアを始め、現在は「いわき傾聴ボランティア『みみ』」という団体で活動を続けています。

“傾聴”とは、人の話に耳を傾けて聴くことですが、これがなかなか難しく、思いやりの心、素直な心、また優しさが必要となります。

私たちは皆、それぞれ自分の考え方や感じ方、価値観を持っていて、その枠の中で相手の話を聴いてしまいがちだと思います。どんな話にも興味や関心を持って聴くには相当のエネルギーが必要で、聴く側に心身の余裕がないと難しいものです。

人が悩んでいると、勇んでもらおうと、つい言葉で説得したくなります。しかし、説得では相手の気持ちを共有することはできません。自分の言葉に生命を吹き込むには、まず、相手の喜びや悲しみを共有することです。自分の心を白紙にして、相手のありのままを受け入れる「受容」と、相手の気持ちや考えに関心を持ち、深く知りたいと思う「無条件の積極的関心」が必要になります。

10年ほど前、当時がんを患っていた信者さんのおたすけに通っていました。最初におさづけを取り次いだ後、どう声を掛ければよいのか悩んでいました。傾聴の講座で、無理に話さなくても、そばに寄り添うだけでもよいと教わっていたので、毎回、笑顔だけは絶やさぬように心がけて通いました。残念ながらその方は出直されましたが、後日、奥さんに「主人はいつも、会長さんが来られるのを待っていたのよ」と言っていただき、本当にありがたく、救われる思いがしました。教祖がいつもそばにいてくださったように思います。

“傾聴”を心がけるのと、そうでないのとでは、人との関わり方が大きく違ってくると思います。

年祭活動2年目の年、ご存命でお働きくださる教祖に少しでも喜んでいただけるよう、ひながたを胸に、いま自分にできることに一生懸命取り組み、勇んで通らせていただきたいと思っております。