“ひながた賛歌” 心一つに響かせ – おうた演奏会 大阪公演
2024・6/26号を見る
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教祖140年祭に向けて
“成人への誓い”胸に
ひながたの道は嬉しや ひながたの道はありがたや――。
「おうた演奏会 大阪公演」(主催=天理教音楽研究会、後援=大阪教区)は16日、堺市民芸術文化ホールフェニーチェ堺大ホールで開催された。
この演奏会は「教祖140年祭に向けて、一人でも多くの人に教祖のひながたを伝えるにをいがけの一助にすること」を目的に音楽研究会が企画したもの。
大阪での「おうた演奏会」は11年ぶり5回目。大阪教区では実行委員会(委員長=松井龍一郎教区長)を組織し、管内の教友らと共に昨年から諸準備を進めてきた。
当日は、真柱様ご夫妻、大亮様ご夫妻ご臨席のもと、約1千500人の聴衆が詰めかけた。
午後3時、開演。音楽研究会の合唱団181人、児童合唱団55人、オーケストラ86人の総勢322人がステージへ上がると、おうた2番交響詩『おやさま』(山田耕筰作曲)、同12番交声曲『ひながたの道』(中山もと編、團伊玖磨作曲)など4曲を心一つに熱演した。
教祖140年祭へ向かう三年千日の年祭活動が折り返しを迎えるなか、「おうた演奏会」のステージに立った出演者たちは、“成人への誓い”を胸に、をやの思いが溶け込んだ“ひながた賛歌”をホールいっぱいに響かせた。
教祖にお喜びいただく
決意と感謝を込めて
公演6日前のおさづけで…
開場1時間前の午後2時ごろ、ホール1階に設置された入場ゲート前には長蛇の列。大阪教区の青年会や女子青年が受付や誘導に当たるなか、4階席まであるホールは間もなく埋め尽くされた。
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午後3時、客席中央で真柱様ご夫妻、大亮様ご夫妻が見守られるなか、公演がスタート。指揮者の上田真紀郎・音楽研究会講師のタクトがゆっくり弧を描いた。
オープニングを飾ったのは、おうた10番『よふきづくめに』(松田元雄作曲)。続く同2番交響詩『おやさま』は、教祖70年祭の記念事業の一つとして、世界的に高名な山田耕筰氏によって作曲された。
第1楽章「旬刻限」では、ソリストの清水徹太郎氏(テノール)が「我は元の神・実の神なるぞ……」と、親神様が教祖を通して仰せになった啓示を、神々しくも厳とした声で歌う。第2楽章「陽気つとめ」を経て、「おふでさき」一号1~8のお歌がもとになった第3楽章「親心」では、清水氏、久保美雪氏(ソプラノ)、北出はづき氏(アルト)、大谷圭介.氏(バリトン)の4人のソリストと合唱団員が、立教に込められた親神様の思召を高らかに歌い上げる。
ソリストの一人、久保さん(51歳・南陽分教会ようぼく・和歌山市)は公演の6日前、外出先で転倒し左足小指を骨折。あまりの痛さに途方に暮れていた。ところが、直後に偶然出会った大阪教区の教友からおさづけの取り次ぎを受けたところ、足の痛みが徐々に引くという鮮やかなご守護を頂き、無事に出演が叶った。
「本番では、身上をご守護いただいた感謝の思いを胸に、生かされている喜びを一人でも多くの人に伝えようと、精いっぱい歌わせていただいた。演奏会を迎えるまでに、親神様・教祖はもちろんのこと、所属教会の会長さんや多くの教友にたすけていただいた。そのご恩を忘れることなく、今日を機に、一層私にできる御用に努めさせていただきたい」と話す。
また、大阪教区合唱団団長の上田和年さん(74歳・真誠分教会長・大阪市)は「以前、三代真柱様と同じステージに立たせていただいた際には、いつも団員の先頭に立ってお導きくださり、常に大きな親心をおかけくださった。今回の演奏会では、三代真柱様がかけてくださった温かい親心を思い出しながら、ご恩返しの思いを込めて精いっぱい歌わせていただいた」と語った。
年祭活動後半への勇みの種
休憩を挟み、安野英之氏の指揮による同12番交声曲『ひながたの道』(團伊玖磨作曲)。この大曲は、團伊玖磨氏が教祖100年祭を期して、中山善衞・三代真柱様をはじめ、音楽研究会スタッフとの入念な打ち合わせを経て、1年がかりで完成したもの。
冒頭、3階バルコニー席に配置されたファンファーレ隊が、世界たすけの黎明を高らかに告げると、オーケストラのコンサートミストレスを務める相原瞳さん(46歳・教会本部ようぼく)によるソロ演奏が続く。
バイオリン奏者として活動しながら、音楽研究会の講師として教え子を指導する相原さんは「天理で音楽を学んだ仲間や、かつての教え子と共に『おうた』の舞台に立てたことが何よりの喜び。本番に向けた練習では、『まずは前後左右に座る身近な人と心一つに演奏し、その輪をだんだんと広げていこう』と呼びかけた」と振り返る。
やがてソリスト4氏の歌に合唱や児童合唱も加わり、教祖ひながたの道が巧みな編曲(オーケストレーション)で紡がれていく。クライマックスの第5章「存命の守護」では、存命の教祖への道の子の決意と感謝の思いが歌い上げられた。
拍手が鳴りやまないなか、カーテンコールでは、本公演に向けて合唱指導に当たった増野正俊・常任指揮者も舞台へ。児童合唱も加わって、おうた7番『心つくしたものだね』(團伊玖磨作曲)を大合唱し、感動のステージの幕を閉じた。
閉演後、聴衆の退場に合わせて、オーケストラが教祖140年祭活動のイメージミュージック『旬の風』を生演奏。プログラムにはなかった演奏に、大勢の来場者は席に留まり、手拍子を打つなどして耳を傾けた。
ステージから降壇後、感謝の言葉を口にしたのは、日本のトップオーケストラの一つ「NHK交響楽団」でヴィオラ奏者として活躍する小畠茂隆さん(52歳・本部直属安東分教会ようぼく・東京都大田区)。国内外の舞台に立つなか、今回30年ぶりに「おうた演奏会」に参加した。「演奏しているうちに、胸に込み上げてくるものがあり、終盤には自然と目頭が熱くなった。小さいころから『おうた演奏会』の舞台に立たせてもらったおかげで、オーケストラの面白さを味わうことができた。これからは、その感謝の思いを胸に、音楽を志すお道の若者にアドバイスをしていければ」と述べた。
「『おうた演奏会』では、同じ信仰を持つ人と共に音楽を奏でることができ、観客の皆さんとも一体になって演奏できた」と笑顔で話すのは、音楽の本場ドイツにある「キール歌劇場オーケストラ・キールフィルハーモニー」に所属するオーボエ奏者の西浦弥彦さん(61歳・教会本部ようぼく・ドイツ)。「当初、仕事の都合で参加が難しかったが、親神様の不思議なお導きで帰国が叶い、本当に有り難かった。『おうた演奏会』は、私にとっての“音楽の原点”。これからも音楽を通じて、多くの人たちと喜びを分かち合いたい」と語った。
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松井龍一郎教区長(61歳・明城大教会長)は「教祖140年祭の折り返し地点に立った節目に、こかん様が初めて神名を流されたこの大阪で、にをいがけの機会を頂けたことは、多くの教友の勇みの種になったと思う。この機会を、年祭活動後半へ向かう弾みとし、にをいがけに一層邁進しなければならないと感じている。今後も、大阪教区一丸となって年祭当日に教祖にお喜びいただけるよう、仕切って成人の道を歩ませていただきたい」とコメントした。
文=久保加津真、鈴木寿男
写真=山中忠治、根津朝也
教祖のお心を身近に感じる機会 – 談話
仲野芳行・天理教音楽研究会理事長
中山善衞・三代真柱様の十年祭が執り行われるこの月に、「おうた演奏会」を盛大に開催させていただくことができ、本教の音楽活動に多大な親心をおかけくださった三代真柱様の祖霊様に、少しはお喜びいただけたのではないかと思っています。
今回の演奏を聴いて、三代真柱様がよく仰せくださっていた「音楽を通して信仰の喜びを掘り下げ、また、その喜びを人に伝える」との音楽研究会設立の思いそのままに、演奏者はもちろんのこと、聴衆一人ひとりに教祖のお心が届いたものと感じています。
演奏会終了後、以前監督を務めていたマーチングバンドの教え子から「勇み心を頂きました。また明日から、おたすけに勇んで頑張ります」とのLINEメッセージが届きました。
教祖140年祭活動の後半がスタートするこの旬に、おうたを通して教祖のお心を身近に感じた教友の皆さまが、年祭活動に拍車を掛けてくださることに期待して、私もますます動かせていただきたいと思います。
「おうた演奏会 大阪公演」の様子をご覧になれます