「水気上げ下げ」の海中の守護 – 視点
日本近海には対馬海流、黒潮などの海流がある。世界の海洋でも、赤道付近で発生する暖流と、極域で発生する寒流の2種類があることが知られている。
そして、もう一つ「深層海流」というものがある。深層海流は、北大西洋のグリーンランド沖付近で発生する。海水は、水温が低く、塩分濃度が高いほど重いので、同沖付近では煙突型の水流となって沈み込み、海底深くを南下する。毎秒10センチほどの遅い流れで、北大西洋から南極海へ、そこからインド洋や南太平洋、北太平洋などを経て赤道付近で表層海流となり、再びアフリカ大陸最南端の海洋を北上し、グリーンランド沖で再び深層へ沈み込むという。
深層海流は、1,000年から2,000年という長い時間をかけて世界の海を周回する。この大循環により、極域の冷たい海水が低緯度へ、低緯度域の暖かい海水が極域へと運ばれ、極端な寒暖差を抑える”地球規模のエアコン”の働きを担っているといわれている。
深層海流には謎が多く、海流が赤道付近で上昇するためのエネルギーの一つに、潮の満ち引き、つまり引力が関係しているとされる。
地球全体に影響を与える、この不思議な海流の仕組みに思いを巡らせるとき、親神様のお働きによって、人間が住みやすい環境が整えられていることに、あらためて深い感銘を覚える。
十全の守護のうち「世界では水気上げ下げの守護の理」と教えていただく「くもよみのみこと」については、地上と空の間の水気上げ下げのみならず、地球表面の7割を占める海の中でも、海流が上昇・下降するご守護を下さっているのであろう。私たち人間は、まさに親の懐住まいをして生かされているのだ。
十全の守護は、体内と世界に分けて説かれる。大恩を知り、報恩感謝の行いへとつなげるためにも、いま一度、十全の守護の説き分けの深さを味わい直したい。
(永尾)