“成人の旬”に実動の一歩踏み出し 神名を唱え教えを伝え – ドキュメント 立教187年「全教一斉にをいがけデー」
2024・10/9号を見る
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9月28日から30日にかけての「支部実動日」に、一人でも多くの人に御教えを伝えようと、教友たちが懸命ににをいがけに勤しむ――。ここでは、「全教一斉にをいがけデー」に参加した各地の教友の姿をドキュメントで紹介する。(ドキュメント「全教一斉にをいがけデー」取材班)
「にをいがけデー」初日の28日午後7時。残暑がようやく和らぎ、涼しい風が吹く東京都新宿区のJR高田馬場駅前は、仕事帰りのサラリーマンや下校中の学生が激しく行き交う。
新宿支部の教会長が先頭に立ち、路傍講演が始まると、金丸優香さん(20歳・神花分教会ようぼく・同区)は、道行く人たちにリーフレットを手渡していく。
2年前の天理教校専修科在学中、「布教実修」でにをいがけに歩く機会はあったものの、身上を抱える未信仰の人におさづけの取り次ぎを申し出ることができなかった。そうした経験から、自身の年祭活動の目標に「おさづけを取り次ぐこと」を掲げた。
今春の卒業後は、所属教会の御用をつとめるなか、個人の実動に踏み出せずにいた。
「布教活動から遠のいていると感じていたので、これではいけないと反省して『にをいがけデー』に参加した」
リーフレットを手に、都会の喧騒に声がかき消されないよう、大きな声で行き交う人々に話しかける。差し出したリーフレットを受け取ってもらえなくても笑顔を絶やさず、一人ひとりに声をかけ続けた。
金丸さんは「リーフレットを受け取ってもらえると、勇み心が湧く。今日の勇みを糧に、今後は日常生活の中でのにをいがけを心がけ、一人でも多くの人におさづけを取り次がせていただきたい」と力強く話す。
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午後7時すぎ、熊谷健太さん(27歳・本理世大教会ようぼく・神奈川県川崎市)が仕事帰りに同駅に駆けつけた。
幼いころから鼓笛隊の活動に参加し、教えに親しんできた。2023年1月、青年会本理世分会の委員になってからは、仕事の傍ら分会のにをいがけや大教会でのひのきしんなどに参加している。
一人でにをいがけをするのは正直言って気が重いと話す熊谷さんだが、「『にをいがけデー』は多くの教友と共に実動できるので、私にとっては有り難い機会になっている」という。
この日、熊谷さんが同駅に到着したとき、すでに多くの教友たちが路傍講演やリーフレット配りに勤しんでいた。これに倣い、熊谷さんも約1時間にわたって道行く人に約20枚のリーフレットを手渡した。
熊谷さんは「今日を機に、教祖140年祭に向けて、さらなる布教実動に力を尽くしたい。そして、10月末に計画している分会の団参に一人でも多くの人をお誘いしたい」と抱負を語る。
ご守護への感謝を胸に
翌29日。愛知県豊橋市の閑静な住宅地で、吉川常美さん(85歳・伊那神豊分教会永浩布教所教人・同市)は戸別訪問に歩く。
7年前、自宅で転倒して腰骨を折った。その後も同じ箇所を複数回骨折するという節を見せられたが、歩けるまでに回復すると、ご守護への感謝を胸にリーフレットを持って町へ繰り出した。
「戸別訪問に歩いても、もちろん断られることは多い。それでも時折、『ご苦労さま』『ありがとう』と声をかけてくださる人もいる。布教に歩いていると、不思議と腰の痛みも忘れ、元気になってくる」
この日も、いそいそと一軒ずつ回り、インターホンを押していく。むげに断られても「お体に気をつけてくださいね」と優しく声をかけ、次へ向かう。
日常のリーフレット配りを始めたときに掲げた「月100枚」の目標は、いまでは500枚に。年祭活動の期間中に、別席者をお与えいただくことを新たな目標に据えているという。
吉川さんは「これからも体を動かせる限り、たとえわずかな時間でも、私の生きがいであるにをいがけに歩かせていただきたい」と意気込む。
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一方、2歳の長男を抱きながら、ポスティングに精を出すのは源のぶゑさん(30歳・八名分教会教人・同市)。母親のまねをして、幼い息子も笑顔でリーフレットを投函していく。
3年前に結婚・出産。子育て中も教会参拝を続け、支部の行事にもできるだけ参加してきた。「教会参拝や地域活動への参加を通じて、自分自身の信仰と向き合うことができた」という。
その後、再就職すると、仕事や育児に追われる毎日に。そうしたなか、「子供に信仰を伝えるために、私が信仰している姿を見せていかなければ」と思うようになった。
この日は休日を利用して支部活動に参加し、子供の手を引いて勇んで実動。にをいがけを終えて教会に戻ると、息子はご褒美にもらったジュースをおいしそうに飲んでいる。
その姿を優しく見守る源さんは「お道の教えを信仰していたら、何か事が起こっても必ず心をたすけてもらえると確信している。そのことを息子に伝えるためにも、これからも教会や支部の行事に参加し、お道に心をつないでいきたい」と語った。
教友の姿に勇み心を得て
最終日30日午前、兵庫県朝来市。太田みゆきさん(93歳・朝来分教会玉置布教所長・同市)は実動を前に、集合場所の朝来分教会で教友とあいさつを交わす。
「昨年、体の調子を崩したとき、年齢のこともあって『もうあかんかな』と思った日もあったけれど、今日こうして教友の皆さんとにをいがけに歩けることがうれしく、感謝の思いでいっぱい」と笑顔を見せる。
約60年前、家庭の事情から、仕事をしながら所属教会に3年間住み込んだ。その際、当時の会長に連れられ、初めて地域のにをいがけに回った。おたすけに奔走する会長の姿を見習ううちに、自らも布教実動に励むように。93歳になった現在も、毎月50枚のリーフレット配布を心定めし、地域を歩いている。
「にをいがけは、自分にとって楽しみの一つであり、生活に欠かせないもの」。そう話すみゆきさんは、この日も住宅街での戸別訪問に勤しむ。一軒一軒、歩みを止めることなくリーフレットを投函していく。
これ以外に、普段はリーフレットにメッセージを添えて県外に住む子や孫に送るなど、“縦の伝道”も意識している。先日、リーフレットの内容に興味を持った孫の妻から「ぜひ、おぢばへ行ってみたい」と連絡があり、11月に一緒に帰参する予定だ。
みゆきさんは「長年のにをいがけによって得たたくさんの経験や出会いが、私自身を成人の道へ導いてくれたと感じている。これからも、ご存命の教祖に喜んでもらえるよう、成人を目指してにをいがけ・おたすけに全力で努めたい」と、かくしゃくと話した。
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同日、太田行夫さん(71歳・朝来分教会ようぼく・同市)も住宅街のポストにリーフレットを投函していた。
13年前に「肺小細胞がん」を発症し、一時は食事も喉を通らないほど憔悴したが、抗がん剤治療を受けながら、ひたすら親神様にもたれる気持ちで日々を過ごすうちに、奇跡的に回復するというご守護を頂いた。
「人さまのために私にできることが、まだ多く残されているかもしれないと思った」と述懐する行夫さん。以後、職場や地域で、自分と同じように身上で苦しむ人がいれば積極的に声をかけるなど、おたすけの心で日々を通っている。
今回の「にをいがけデー」は、年祭活動の旬とあって、これまでは苦手意識が強かった戸別訪問に初めて挑戦した。
行夫さんは「一緒に歩いた教友の皆さんから勇み心を頂き、自分なりに精いっぱい取り組むことができたと思う。これからも親神様のご守護に感謝し、人さまに喜んでもらえる取り組みを日々コツコツと積み重ねていきたい」と決意を語った。