代表主将として新チームを牽引 – 天理大学ラグビー部OB 立川理道選手
2024・10/9号を見る
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天理大学ラグビー部OBの立川理道選手(34歳・但八分教会みちのり布教所ようぼく・クボタスピアーズ船橋・東京ベイ所属)は先ごろ、東大阪市の花園ラグビー場などで行われた、環太平洋諸国が参加する国際大会「パシフィックネーションズカップ」(PNC)に、日本代表のキャプテンとして出場。9月21日に行われた決勝戦では、フィジーに17‐41で敗れたものの、日本代表を準優勝に導いた。
地元・天理市の「やまのべラグビー教室」で楕円球に触れ、天理中学校、天理高校へ進学。天理大学4年時はキャプテンとして「全国大学ラグビー選手権大会」準優勝の立役者となった。
日本代表の“桜のジャージー”に初めて袖を通したのは2012年4月。「アジア5カ国対抗」のカザフスタン戦で途中出場し、初キャップ(国代表として国際試合に出場した証し)を獲得した。
さらに、15年にイングランドで行われた「ラグビーワールドカップ」にも出場。優勝候補の一角である南アフリカ戦では、決勝トライを演出するロングパスで日本の歴史的勝利に貢献した。
その後は代表に招集されない時期が続いたが、日本一を決める「ジャパンラグビーリーグワン」の2022‐23シーズンには、キャプテンとして所属チームを初の日本一に導き、自身もシーズンMVPに輝いた。
司令塔として攻撃を指揮
今年1月、名将エディー・ジョーンズ氏が日本代表のHCに再任。立川選手も招集を受け、6月末に新生・日本代表チームに合流した。
エディーHCは、8月末に開幕するPNCに向けて、立川選手をキャプテンに指名。「キャップ数の少ない選手も多いため、テストマッチに向けた準備やメンタル面での手本となれるよう、まず自分が率先して動き、それを彼らに学んでもらえるように努めた。また、若返ったチームに自身の経験を伝え、苦しんでいる選手にはアドバイスをしようと思った」と話す。
8月23日、PNC開幕。世界ランキング14位の日本は、プール戦を2戦全勝で勝ち上がり、世界13位のサモアとの準決勝に臨んだ。
この試合でエディーHCから6年ぶりとなる先発指名を受けた立川選手。15年のワールドカップ以来、9年ぶりにスタンドオフとしてグラウンドに立った。
チームの司令塔として、主に攻撃を指揮する役割を担うスタンドオフ。立川選手は「特別なプレーではなく、チームが求めていることを素早く判断するように心がけた」と振り返る。
前半は風下でのプレーとなったため、パスとランを中心にゲームを組み立てて主導権を握ると、後半も世界屈指のフィジカルを誇るサモアに対し、スピードを生かして攻め込み、49‐27で勝利した。
決勝は世界10位の強豪・フィジーと対戦。前半は拮抗した戦いとなったものの、後半はフィジカルに勝るフィジーの圧力を受けて点差がつき、17‐41で準優勝となった。
この試合で立川選手は、日本ラグビー史上12人目となる通算60キャップを達成した。
立川選手は「若い選手が自分の役割を理解し、チームのために組織だって動くことができていた。決勝で負けはしたものの、世界での自分たちの立ち位置が分かったという意味で、良い大会だった。この先ワールドカップも控えているが、テストマッチや各クラブでの試合など、まずは目の前の戦いに全力で取り組み、成長していきたい」と話す。
なお今大会には、天理大OBでクボタスピアーズに所属する藤原忍選手(25歳・スクラムハーフ)とファウルア・マキシ選手(27歳・ナンバーエイト)もそれぞれ出場し、チームの準優勝に貢献した。