特集 第1000期を迎えた修養科 心が生まれ変わる3カ月 教えを実践する生き方へ
2024・10/23号を見る
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既報の通り、修養科は10月1日、第1000期の節目を迎えた。修養科生たちは現在、『天理教教典』や『稿本天理教教祖伝』、おてふり・鳴物の授業を受けるとともに、ひのきしんなどに励みながら”心の修養”に努めている。これまで延べ約67万4千人が修了した修養科。ぢばから旅立った修了者たちは、親里で味わった信仰の喜びを胸に各地で教えを実践する生き方を心がけている。この特集では、3カ月にわたる”修養の日々”を通じて「心が生まれ変わった」と話す修養科修了者の信仰エピソードを紹介する。
修了者の信仰エピソード
修了後も仲間に支えられ
リーフレット配りを続け
第994期 清水笑美子さん
(69歳・登立分教会ようぼく・大阪府茨木市)
「いま元気で過ごせるのは、親里で出会ったかけがえのない仲間のおかげ」。今年4月から6月にかけて第994期を志願した清水笑美子さんは笑顔で語る。
1年半前、「腰部脊柱管狭窄症」を発症。左足のしびれと激しい痛みのため、歩行に杖が欠かせなかった。
そんななか、自身も身上を抱える姉から「一緒に修養科を志願しないか」と誘われた。不思議なお引き寄せを感じた清水さんは、約50年ぶりに自身2度目の修養科を志願した。
親里で自らの心づかいを見つめ直すなか、1カ月目の終わりには杖なしで歩けるまでにご守護いただいた。
「私も姉も身上を抱えて、不安はあったが、心を倒さずに通れたのは多くの仲間の支えがあったから」。なかでも、組係を務めた武藤ひかりさん(24歳・岐阜美富分教会ようぼく・岐阜県羽島市)は、いつも温かい言葉をかけてくれた。
姉と共に無事に修了の日を迎え、「多くの人たちのサポートを受け、私自身も日常生活でおたすけの心を意識するきっかけになった」と振り返る。
修了後、「まずは近くの教会で参拝しよう」と考えたが、持病が再発。再び足のしびれと痛みに襲われた清水さんは7月末、LINEで修養科のクラスメートたちに病状を伝えた。
すると、武藤さんから「自宅まで、おさづけを取り次ぎに行きます」と返信があった。「たすかってもらいたい一心だった」という武藤さんは3日後、岐阜から大阪へ駆けつけた。その背中を押したのは、7月中旬に出直したばかりの父の存在があった。
「父は常々、おさづけの尊さを世界中に広めたいと願っていた。入院中も同室の患者に取り次いでいた。そんな父の元には、多くの教友の皆さんが遠近問わず駆けつけてくれた。この姿勢を私も受け継がなければと強く思った」
清水さんは再会した武藤さんと共に、自宅近くの満京分教会で参拝し、武藤さんからおさづけの取り次ぎを受けた。
「親神様にもたれきれていないことを反省した。武藤さんがいなければ、この”気づき”も得られなかった」
この日以降、清水さんは同教会への日参を始めた。さらに、9月の「全教会布教推進月間」での実動を機に、日参の際に教会でリーフレットを1枚受け取り、帰り道で配るようになった。
いまは足の痛みがほとんどないという清水さん。「修養科は、さまざまな出会いや気づきを通じて、今後の人生の道標を与えてくれる場所だと思う。これからも親神様にもたれきって通り、日々の実動を地道に積み重ねたい」
がんの身上を抱えて志願
鮮やかなご守護を実感し
第992期 垣野道代さん
(32歳・惠光分教会ようぼく・大阪府枚方市)
教会で生まれ育った垣野道代さんは2023年9月、「子宮頸がん」が発覚。手術は無事に終わったものの、排尿障害が残り、経過も芳しくなかった。そのなか、「仕事が忙しくて教会の月次祭に参拝できていなかったこともあり、修養科志願を決めた」。
今年2月から第992期へ。ところが、1カ月目に受けた経過健診で、がんの再発が判明。「治療に専念するために辞退したほうがいいのでは」と周囲の人たちは心配したが、当の垣野さんは「覚悟を決めて志願したから」と、修養生活を続けた。
以後、多くの仲間がお願いづとめを勤め、おさづけを毎日取り次いでくれた。垣野さん自身も「一日一人は自分から申し出て、おさづけを取り次ぐこと」「帰り道のごみを拾うこと」を心定めした。「多くの人たちに支えられ、自分でも不思議なほど落ち込むことはなかった」と振り返る。
修了後の5月、治療のため入院。6月末に退院し、8月に病院で検査を受けたところ、医師から「がんが見えなくなった」と伝えられた。
「もちろん驚いたけれど、家族が十二下りのお願いづとめと上級教会への日参を続けてくれていたので、『きっとたすけていただける』と信じていた」
現在も毎月の検査を受けているが、再発の兆候は見られないという。仕事を再開した垣野さんは、鮮やかなご守護を頂いたことに感謝し、自教会と上級教会の月次祭に欠かさず参拝するとともに、身上者には積極的におさづけの取り次ぎを申し出ている。
垣野さんは「修養科では、それぞれが大変な状況の中も、互いに支え合いたすけ合うことで勇気をもらえる。私もあらためて信仰と向き合うことで、心の向きを変えることができた」と語った。
未信仰の夫と共に親里へ
おさづけの尊さ感じて
第994期 山中知子さん
(67歳・大惠山分教会ようぼく・岡山県笠岡市)
信仰3代目の山中知子さん。「修養科では、たくさんの仲間の皆さんが夫におさづけを取り次いでくださり、とても有り難かった」と述懐する。
夫・祐二さん(69歳)は、結婚を機にお道の教えを知ったものの、自ら信仰を求めることはなかった。
2023年3月、祐二さんが脳出血で入院し、右手足がほとんど動かなくなった。知子さんはおさづけの取り次ぎを続けるなか、夫婦で営むパン製造会社を畳むことになったとき、ふと修養科のことが頭に浮かんだ。そして今年4月、祐二さんを誘って親里の土を踏んだ。
当初、お道の知識がほとんどない祐二さんは「不安やストレスでつらそうだった」。そんななか、知子さんは知り合いの本部員から、おさづけの理を取り次ぐ際の心構えについて話を聞いた。これに感銘を受け、夫へのおさづけの取り次ぎに一層心を込めた。
修養中、杖を持つ祐二さんは、異なるクラスの仲間からおさづけの取り次ぎを受けることも少なくなかった。「ベンチで休んでいると、ハッピを着た若い子たちが寄ってきて、おさづけを取り次いでくれる。そんな環境が有り難くて、修養科に導いてくださった親神様の親心を実感した」という。
当初は半信半疑だった祐二さんも、おさづけの取り次ぎを受けると「有り難い」と感謝の言葉を口にするようになった。祐二さん自身がおさづけの理を拝戴すると、今度は身上を抱えた親族に率先して取り次いだ。
修了後、知子さんが腕を骨折。さらに腰も悪くしたが、祐二さんがおさづけを取り次いでくれる。
知子さんは教会日参を続けるなか、たび重なる身上に親神様のメッセージを悟る。「お借りしている体を、人をたすけることに使わせていただこう」と、一日一回のおさづけの取り次ぎを心定めした。
知子さんは「修養生活を通じて、おさづけの尊さを身に染みて感じた。これからは身近な人のおたすけに励み、教えを胸に夫婦でたすけ合いながら道を歩んでいきたい」と決意を述べた。