冬の全国大会 初タイトル獲得 – 天理大学柔道部 秋田 伯選手
2025・3/19号を見る
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天理大学柔道部の秋田伯選手(3年)は、2月15、16の両日に天理大学杣之内第1体育館で行われた「全日本学生柔道 WINTER CHALLENGE TOURNAMENT 2025」に出場し、66キロ級で初優勝に輝いた。
滋賀県出身。父親が柔道経験者で、地元道場の指導者と交流があったことから、小学1年生で初めて道着に袖を通した。
「最初は楽しかったけれど、結果が出なくて嫌になったこともあった」と振り返る秋田選手。それでも地道に鍛錬を続け、中学3年時に「全国中学校柔道大会」男子66キロ級でベスト8入り。高校でさらに実力を伸ばし、3年時の「全国高校柔道選手権大会」男子66キロ級で3位入賞した。
大学進学に際して、高校の監督から天理大学を紹介され、「ここで柔道を学びたい」と門を叩いた。
メンタルの弱さを克服し
得意技は幼少から鍛え抜いてきた「背負投」と「一本背負投」。また、昨年の「全日本ジュニア柔道体重別選手権大会」男子81キロ級を制した、弟のハル選手(天理大学2年)の得意技である「小外刈」を自らの技に取り入れるなど、日夜研究を怠らない。
「とにかく前へ前へ出て技を仕掛け、粘り強く勝ちをつかむタイプ」と自身を評する秋田選手。相手よりも先に組み、優位な状況で技を仕掛けられるよう、組手に注力した練習を続けている。
一方で、以前からメンタルの弱さを課題としていたという。「強豪校や有力選手の名前を聞くだけで、心がひるんでしまっていた」。そんななか、大学2年時に出場した「滋賀県柔道体重別選手権大会兼国体成年男女選手選考会」男子73キロ級で、1学年上の同部の先輩を破って優勝したのを機に、自身の弱みを少しずつ克服していった。
今年度は「関西学生柔道体重別選手権大会」男子66キロで準優勝。滋賀県柔道大会では2年連続の優勝を手にしたほか、「国民スポーツ大会」の団体戦メンバーとして、チームのベスト8入りに貢献した。さらに、今年2月初旬に開催された、無差別級で争われる「奈良県柔道選手権大会」でもベスト8まで勝ち上がる躍進を見せ、「この勢いをもって、ウインターチャレンジで絶対優勝しよう」と誓った。
迎えた今大会。トーナメントを順調に勝ち進んだ秋田選手は、4回戦で秋山悟大選手(帝京平成大学2年)と対戦した。「ガツガツ前に出てくるタイプで組みづらく、苦戦した」と秋田選手が振り返る試合は、延長戦にもつれ込むなか、最後は相手の隙を見逃さず「小内刈」を決め、「技あり」で制した。
決勝では大崎天照選手(愛知大学2年)と対戦。序盤に「技あり」を奪われるも、「取り返せる自信があったので、焦りはなかった」。再び延長戦にもつれ込んだものの、相手選手のスタミナ切れを察したタイミングで猛攻を仕掛け、「小外刈」で「有効」。全国規模の大会で、初の優勝に輝いた。
秋田選手は「大学初タイトルを獲得し、天理大学で結果を残せたことがうれしい。今後の大会でも優勝をつかめるよう、量はもちろん“質”を意識しながら、常に頭を使って鍛えていく」と話している。