令和の米騒動に思う – 視点
2025・5/7号を見る
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お米の価格高騰が続き、「令和の米騒動」として広く関心を集めている。その要因は、あるシンクタンクの分析によれば、長年にわたる減反政策、気候変動や自然災害の頻発、そして農業従事者の高齢化による労働力不足が生産に大きな影響を及ぼしている。また、消費者の食生活の多様化や人口減少に加え、インバウンド需要の急増が需給バランスを一層複雑化させているとして、早期解消の難しさと需給体制を再構築する必要性を指摘している。
今後、どのように改善されていくかは、まだ分からないが、このお米が高価で手に入れにくい状況を「節」と捉えるならば、信仰者としては、親神様がお米に対する普段の意識や接し方を見直す機会を与えてくださったのだ、と受けとめてはどうだろうか。
ところで時候は、まさに米作りが始まる旬。おぢばでは、4月16日に「はえでづとめ」が勤められた。このつとめは、教祖が明治8年に教えられた十一通りのつとめの一つで、立毛、すなわち農作物の萌出を祈願するつとめである。
「はえでづとめ」には、親里でのお米作りに使用される籾種がお供えされ、そのお下がりは教祖にお供えする御供米として収穫を目指す。籾種は4月下旬に「苗代」に蒔かれ、1カ月ほどかけて15センチほどに育成し、6月には水田に植えられる。ただし、田植えが済めば後は収穫を待つだけかといえば、そうではない。夏中、延々と続く田の修理(除草など)、台風や害虫の脅威などさまざまな苦労や困難を経なければならない。
筆者は以前、本紙の企画で親里・大裏の稲作を取材して連載を執筆したことがあったが、その過程を知れば知るほど、私たちが今日頂くお米の一粒一粒が農事をされる方の苦労の結晶であり、親神様の妙なるご守護の賜物であると強く実感させられた。
お米を丹精された方の粒々辛苦の思いと、一粒にこもる親神様の火水風のご守護の尊さを思うとき、件の米不足騒動は、口にするお米の有り難さと味わいを高める要素として一層の喜びに替えていきたい。
(諸井)
過去の連載「おやさと瑞穂の記」は下記からご覧いただけます。
