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2025年度「公開教学講座」開講 「元の理」を新テーマに – 天理大学おやさと研究所


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天理大学おやさと研究所(井上昭洋所長)は4月25日、第1回「2025年度公開教学講座  『元の理』の学術的研究とその新しい展開を求めて」を同大研究棟で開講。当日は、金子昭研究員が「『元の理』研究入門」と題して講演した。同講座が対面式で開催されるのは5年ぶり。

同講座は、教理の根幹である「元の理」について、各分野の研究員が専門分野を踏まえつつ、自らの学問領域を越えて、その研究成果を広く問うもの。今年度、天理大学創立100周年と教祖140年祭の二つの大きな旬を迎えることを記念して企画された。

金子研究員は冒頭、現在出版されている「元の理」に関する研究書などは『天理教教典』の第三章「元の理」と第四章「天理王命」の内容がベースになっているとして、昭和24年の『天理教教典』刊行を機に「元の理」研究の方向性が定まり、教内外で本格的に研究されるようになったと話した。

すべての生き物の「親」

この後、金子研究員は自身の研究領域である人文学の視点からのアプローチについて話を進めた。

その中で、アメリカの古生物学者であるニール・シュービン氏が著書の中で示唆した、「DNAレベルでは、塩基の配列にはすべての生物に構造的共通性がある」「地球上のすべての生き物には『親』がいた」という主張を踏まえ、この親こそ「親なる神」といえるのではないかと指摘。地球上のすべての生き物は親なる神を「親」とする「一れつきょうだい」であり、それゆえ万物の霊長たる人類には、地球環境を大切にする倫理的義務がある、と持論を述べた。

最後に、今後の「元の理」研究の展望について、高弟たちが書いた「こふき本」を教祖にお見せした際、それで良しとも駄目とも仰せられなかった史実をもとに、「21世紀に生きる私たちは、現代の知識と教養を総動員し、教祖の教えを台にして『こふき本』研究を深化させ、新たな『こふき本』作成へと向かうことが求められているのではないか」と述べ、講座を締めくくった。

今年度の公開教学講座は、4月から来年3月までの毎月25日13時から、天理大学研究棟3階の第1会議室で行われる予定(1月、2月は天理大学ふるさと会館大ホールで開催)。第2回は、中西光一研究員が「『元の理』の人種理論・平等思想」と題して登壇する。


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