障害のある子らが馬と触れ合い – 甲京分教会「天理キャンプ」
2025・5/21号を見る
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京都市の甲京分教会(辻真一会長)は5月10、11の両日、「天理キャンプ」と銘打った団参を実施し、重度の障害のある子供とその家族を伴っておぢばに帰参。一行は11日、ホースセラピー(コラム参照)を実施している天理大学の馬術部で馬との触れ合いの時間を持った。
天理大学は5年前、「部でできる社会貢献を」との思いから、JRA(日本中央競馬会)の元調教師で一般財団法人「ホースコミュニティ」代表理事を務める角居勝彦さん(鹿島大教会大輪布教所教人)をアドバイザーとして招き、動物介在療法の一つであるホースセラピーの取り組みを始めた。
現在、天理大学が開講する「ホースセラピーⅠ・Ⅱ」には、科目等履修生を含む約60人が受講。また同部では、福祉サービス事業所などと連携し、定期的にホースセラピーを実施している。
親子で体験楽しみ
「天理キャンプ」は、肢体不自由児と当事者家族の“夫婦参加型”のイベントとして、辻会長(58歳)と治美夫人(55歳)が企画したもの。今年1月、辻会長は「天理キャンプ」のプログラムを計画するなか、ホースセラピーを実施している天理大学に協力を打診。これに天理大学が応え、馬と触れ合う体験の時間が設けられた。
11日午前10時、快晴のもと、「天理キャンプ」の参加者29人が天理高校西山校舎の南側に位置する厩舎に集まってきた。厩舎では、同大馬術部員に加え、学生ら26人がボランティアとして参加者を迎えた。
厩舎前の馬場では、北海道和種馬の天天、大型馬の天紫の2頭がスタンバイ。同部が飼育する4頭のうち、この2頭は“セラピーホース”として飼育されている。
参加者は、石井孝弘・同大教授から馬の性質などについて説明を受けた後、慣れない手つきで馬の鼻筋を撫でたり、ニンジンを与えたりして、触れ合いを楽しんだ。
「天理キャンプ」に毎回参加している福田由紀子さん(46歳・京都市)は、「子供と共に外へ出て何かを体験するということが難しい中で、ほかの家族と一緒に馬と触れ合うことができてうれしい。初めは怖がっていた娘も、なんとか触れようと挑戦し、最後には『楽しかった』と言って喜んでいた」と笑顔を見せた。
辻会長は「『天理キャンプ』は、普段は外出することが難しい肢体不自由児とその家族がおぢばに帰り、教祖のもとへ行くことができる機会。今回は、天理大学の協力のもと馬と触れ合う機会を持つことができ、感謝している」と語った。
種村理太郎・同大馬術部部長は「参加された方々の表情が、馬との触れ合いを通じて和らいでいく様子を見ることができた。今後も地域との連携を強め、部の活動を活発にしていくとともに、おぢばに帰られた際に楽しんでもらえる取り組みにしていきたい」と話した。



ホースセラピー – コラム
乗馬や馬と触れ合うことで心身の働きを健常に近づけ、日常生活の質を高めることを目指すもの。乗馬による運動効果のほか、馬と触れ合うことによる癒やしの効果があり、障害のある人、ストレスや不安を抱える人などへの支援方法として期待されている。
昭和8年の創部以来、競技馬術を中心に活動してきた天理大学馬術部は、飼育する馬を通して社会に貢献しようと、令和元年度からホースセラピー活動を開始し、翌年には同大が「第一種動物取扱業」に登録。現在、不登校など支援が必要な子供たちと馬との触れ合いの機会を設ける活動を展開している。
馬の見学などについての問い合わせは天理大学社会連携センター室まで。
TEL:0743‐63‐9007