楽曲と真摯に向き合い喜んでもらえる演奏を – ヒューマン
2025・7/16号を見る
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“世界最高峰のオーケストラ”
ベルリン・フィルの第1バイオリン奏者に
MINAMIさん
バイオリニストとして世界の舞台で華々しい活躍を続ける教友がいる。天理教音楽研究会「弦楽教室」で学んだMINAMIさん(本名=吉田南さん・27歳・越海分教会所属・ドイツ)は先ごろ、“世界最高峰のオーケストラ”であるベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のオーディションに合格。今秋から第1バイオリン奏者として所属する。道の音楽家として新たなステージに上るMINAMIさんに、演奏に込める思いを聞いた。
これまで、「日本音楽コンクール」で優勝したほか、世界三大音楽コンクールである「エリザベート王妃国際音楽コンクール」で大きな功績を挙げるなど、輝かしい実績を残してきたMINAMIさん。親里で開催される「おうた演奏会」では、過去にコンサートミストレスを務めた。
「これまで『弦楽教室』で培った経験がいま、大いに生きている」と話す。
「弦楽教室」から世界へ
天理市で生まれ、5歳のとき「弦楽教室」でバイオリンを手にした。きっかけは、テレビで見たオーケストラのコンサート映像で、「自分もこれをすれば可愛いドレスが着られると思った」。
同教室へ通い始めた当初は「ものすごく不器用だった」と振り返る。バイオリニストとして国内外で活躍した岩谷悠子さん(本部婦人)や岡本智紗子さんから指導を受けるなか、次第に頭角を現し、天理小学校、天理中学校在学時には「全日本学生音楽コンクール」小・中学校両部門で、それぞれ優勝。その後、東京の名門・桐朋女子高校音楽科(男女共学)を卒業し、アメリカ・ボストンのニューイングランド音楽院で世界的バイオリニストであるミリアム・フリード教授の指導のもと、学士号と修士号を取得した。昨秋から拠点をドイツへ移し、クロンベルクアカデミーでさらなる研鑽に励んでいる。今年5月にフィンランドで開催された「シベリウス国際ヴァイオリンコンクール」では第2位に輝くとともに、最優秀演奏賞も受賞した。
昨秋、“世界最高峰のオーケストラ”と評されるベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のオーディションを受けたところ、次々と審査を通過し、見事合格。今秋から、同楽団に第1バイオリン奏者として加わることが決まった。
作曲家の思いを伝える
MINAMIさんは演奏に臨むまでに、楽譜を読み込むのはもちろん、作曲家の人物像や時代背景なども探究し、少しでも楽曲への理解を深めるようにしているという。
「演奏者は作曲家の思いを伝える“伝道師”だと思う。曲が作られた意味を自分なりに考え、譜面上の音符一つひとつについて、『作曲家はなぜこの音符をここに記したのか』という理由をすべて明確に言えるように準備する」
楽曲と真摯に向き合うMINAMIさんの演奏は、「豊かなエネルギーに満ちた真の表現者。全てのフレーズの細部にまで彼女の存在が息づいている」と評される。圧巻のテクニックと豊かな表現力で、聴衆の心を惹きつけている。
ソリストと室内楽奏者としての活動を継続しながら、オーケストラ奏者という新たなステージに臨むMINAMIさん。
「生涯をかけて音楽の勉強を続け、すべてのことをきちんと極めていきたい。そして、これから携わるステージの一つひとつにひた向きに取り組み、道の音楽家として多くの方に喜んでもらえるような演奏活動を続けていけたら」
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なお、9月1日発刊のインタビュームック『すきっと』(道友社刊)第42号に、MINAMIさんの特集記事が掲載される予定。