映画で“お道のにをい”を届け – 話題を追って
2025・7/23号を見る
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数々の映画祭で入選果たす
鳥取の福寄広之さん
福寄広之さん(40歳・東正道分教会長・日吉津村)が制作した、教友の取り組みを題材にしたドキュメンタリー短編映画が先ごろ、アジア最大級の国際短編映画祭「SHORT SHORTS FILM FESTIVAL & ASIA2025」(=「SSFF&ASIA2025」)の「ノンフィクション部門」にノミネートされるなど、国内外で高い評価を得ている。ここでは、映画制作の裏側を紹介するとともに、映画に込めた福寄さんの思いに迫った。
5月某日、福寄さんは東京都渋谷区の表参道ヒルズで開かれた「SSFF&ASIA2025」の上映会に出席した。今回上映された「いまにまるを」は、40年以上にわたって不登校児や障害のある子供の教育支援を行う新田恒夫さん(70歳・蘇我町分教会長・千葉市)の取り組みを題材に、福寄さんが制作したドキュメンタリー短編映画。同映画祭の「ノンフィクション部門」で、応募総数4千592作品の中からノミネート作品15作品の一つに選出された。
「映画を通して、“お道のにをい”が少しでも多くの人に届けばうれしい」と福寄さんは笑顔で話す。
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福寄さんは天理教校附属高校(当時)を卒業後、専修科、大教会青年を経て、少年会本部で勤務。ビデオ班の一員として、「こどもおぢばがえり」の「おやさとパレード」をはじめ数々の行事を撮影し、編集する中で映像制作のいろはを学んだ。5年間の勤務を終え、所属教会に戻った後も映像制作を続けた。
転機が訪れたのは約2年前、青年会山陰分会のYouTubeチャンネルで、布教専従の生活を送る教友の姿を紹介する動画を公開したところ、さまざまな反響があった。
「布教師の生活という普段知る機会の少ないものをクローズアップしたことで、さまざまな人が興味を持ってくださった。これを機に、教友の活動を映画化すれば、多くの人に“お道のにをい”を届けられるのではないかと考えた」
三つのこだわりを持って
福寄さんは早速、難渋を抱えている人を受け入れ、自立できるまで支援する「自立支援保護シェルター」の取り組みを通じて、これまでに50人以上と関わってきた杉原一平さん(43歳・陽平分教会長・島根県出雲市)に、活動の映画化を打診した。
映画化に当たり、決めたテーマは「一れつきょうだい」。活動のきっかけや取り組みの様子を取材するとともに、少年会本部で共に御用に携わった光武大和さん(37歳・須光分教会長・福岡県飯塚市)にBGMの作曲を依頼するなど知り合いの教友の協力を得て、約3分半の映画に仕上げた。「映画を作るうえで、“教祖のにをい”が感じられること、出演者がようぼくであること、制作スタッフも教友であることの三つにこだわり、映像からお道の信仰が伝わるように意識した」と福寄さんは話す。
その後、完成した初の短編映画「家族の境界線」は、第18回「札幌国際短編映画祭2023」、第1回「芦屋国際芸術映画祭2024」で、それぞれ入選。その活動は地域新聞にも取り上げられ、杉原さんのもとには講演依頼や活動を支援したいとの申し出が舞い込んだ。
杉原さんは「これまで教祖のひながたを胸に続けてきた活動が、映画を機に多くの人に認めてもらえたことで、教えの素晴らしさを再認識できた」と語る。
年祭活動の“勇みの種”に
2作目の制作に当たり、福寄さんは以前から親交のあった新田さんに出演を依頼。「最初は断っていた」という新田さんも、福寄さんの熱心な申し出に映画化を承諾した。新田さんに依頼した理由について、福寄さんは「新田先生が数々の経験をもとに語られる『親孝行』の話を、不登校児や障害のある子供がいる家庭はもちろん、一人でも多くの人に知ってもらいたかった」と述懐する。
「親孝行」をテーマに制作された、新田さんの教育支援の活動と、その根底にある家族への思いを描いた「いまにまるを」は、先日開催された第4回「宮古島チャリティー国際映画祭2025」の「ドキュメンタリー部門」で最優秀作品賞を受賞するなど、七つの映画祭で入選・ノミネートを果たした。
新田さんは「映画を見た人に『感動した』『救われた』と言っていただき、いまでは映画化をしてもらえて良かったと思っている。このような機会をつくってくれた福寄さんには感謝しかない」と話す。
福寄さんが制作した映画は現在、教内外で開かれる講演会や福祉イベントなどで上映されている。
福寄さんは「映画を作る中で、二人の人柄からにじみ出る“お道のにをい”にふれ、私自身、教えられるところが多かった。教祖140年祭活動の旬に、多くの教友に映画を見ていただき、“勇みの種”を得てもらえたらうれしい」と語った。
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なお、福寄さんの作品「家族の境界線」と「いまにまるを」は下の画像から視聴できるほか、希望に応じておやさと書店でも上映する。
「家族の境界線」

「いまにまるを」
