メディアを駆使し一手一つの体制を – 視点
2025・8/27号を見る
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広告代理店の博報堂が行ったメディア定点調査2025年版によると、日本人のメディア総接触時間の一日平均は440分で、そのうちスマートフォン(スマホ)の接触時間は過去最高の165.1分となり、テレビの接触時間をはるかに上回っていることが分かった。現在の国内のスマホの保有率は97パーセントともいわれ、端末を通して情報の受け取り方が多様化し、かつて新聞・テレビ・ラジオがメディアの中心であった時代とは環境が大きく変わってきている。そんななか、特に新聞購読者の減少は著しく、30年前の全盛期に比べて半減している。
ところで、本教のメディア活用の歴史は古く、明治24年の『みちのとも』創刊に始まる。当時は、日本に印刷技術と出版文化が普及し始めたころで、まさに時代を先取りするものであった。続いて昭和5年には『天理時報』を創刊。以来、本教では、『みちのとも』『天理時報』を主軸に、長い間全教の教会長、ようぼく・信者に紙の印刷物を通して、おぢばの旬の声をはじめ、“心の糧”になる教理や教話、お道のニュースを届けてきた。
なかでも特筆すべきは、教祖100年祭を前に、「全ようぼく家庭に天理時報を」を目指して30万部が達成されたことである。これによって全教が『天理時報』を通しておぢばにつながり、意識を共有して一手一つになれる体制が構築されたといえる。
しかし、その後は世の新聞の趨勢と同じく『天理時報』の購読者も減少し続けて今日に至っている。昨年、道友社が行った調査によると現在の『天理時報』購読者の年齢層は、60代以上が全体の8割を占め、50代が1割、40代以下は1割に満たなかった。この結果には「紙離れ」といわれる現代のメディア環境の変化が大きく影響していることは否めない。
こうした状況に鑑みて道友社では、従来の『天理時報』のさらなる内容充実を図る一方で、2年前、インターネット上に「天理時報オンライン」を立ち上げるなどデジタルの分野にも力を入れている。従来のメディアだけに固執せず、新しいメディアを積極的に活用して、すべてのようぼく・信者に隈なくおぢばの旬の声と“心の糧”を届け、全教が一手一つになれる体制を再び構築していくことを目指したい。
(諸井)