全日本パラ卓球の王者 大会連覇めざして躍動 – 天理高校卓球部OB 中村亮太選手
2025・9/3号を見る
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天理高校卓球部OBの中村亮太選手(22歳・日本オラクル株式会社所属・首府分教会ようぼく)は昨秋、東京都北区の赤羽体育館で開催された「全日本パラ卓球選手権大会」男子シングルス(クラス5)で初優勝を果たした。国際大会でも目覚ましい活躍を見せる中村選手は現在、大会連覇を目指して練習に励んでいる。
奈良市出身。1歳8カ月のころ小児がんの一種である「神経芽細胞腫」と診断され、その後遺症で両下肢機能障害に。下半身まひとなり、移動には杖や車いすが必要になった。
中学へ進み、部活動を見学するなか、小学生のころに父と遊んだ卓球に興味を持った。しかし、「自由に歩けないとチームメートに迷惑がかかる」との理由で入部を諦めようとしたところ、顧問の先生から「足が不自由でも大丈夫」と背中を押され、杖をつきながら卓球に興じた。
中学3年生のころ、股関節の状態が悪化。「引退」の二文字が頭に浮かんだが、「君が頑張る姿に力をもらっている」と周りから応援を受け、車いすに乗って卓球を続ける道を選んだ。
未信仰家庭に育った中村選手。天理高校へ進むきっかけの一つに、幼いころ「憩の家」に入院した際、当時、天理に住んでいた椎本重子さん(61歳・首府分教会相州布教所長夫人・神奈川県川崎市)におさづけを取り次いでもらった経験があるという。3年時にはキャプテンを務め、団体戦でもメンバーの一員として戦った。一方で、1年時から全日本パラ選手権に出場し、2年時からはパラ日本代表の強化合宿に参加するなどして研鑽を積んだ。
コーチと二人三脚で
高校卒業後、社会人チームや企業などに所属して国内外の大会に出場を続けるなか、一昨年秋、「国民体育大会」や「全日本卓球選手権大会」40代の部奈良県代表を経験した橋田亮一さん(41歳)と出会い、コーチとして指導を受けるようになった。
橋田さんは「スマッシュやドライブなどの攻撃力は世界でもトップクラスといっていい」と中村選手を評価する。
二人三脚で練習を重ね、昨年9月の全日本パラ選手権では順調にトーナメントを勝ち上がり、決勝も3-0のストレート勝ちを収め、初の日本一を手にした。
さらに、今年3月の「全日本オープンパラ卓球選手権大会」男子G1で3位入賞。6月に台湾で行われた「高雄オープン」では男子シングルスで3位入賞を果たすなど、着実に実力を伸ばしている。
「これまで一人ではやりたい練習ができず、苦々しい思いをしていた。経験豊富で自分の考えを理解し、さまざまなサポートをしてくださる橋田コーチのおかげでトレーニングにも熱が入る」という中村選手。一般の大会にも車いすに乗って参加を続けており、「自分と同じような境遇の人たちに、ハンデを乗り越えて戦える世界があることを伝えたい。これは自分にしかできないことだと思う」と強い思いを口にする。
9月10日から国際大会である「ジャパンオープン」、26日からは連覇が懸かる全日本パラ選手権が控えている。大会に向けては、車いすに乗って対戦相手の特徴をまねる橋田さんを仮想敵とするなど、練習に余念がない。
中村選手は「全日本では追われる立場になったので、まずは気後れすることなく、自分が納得できるプレーをすることを念頭に置いて戦っていく。将来の目標は、もちろんパラリンピックに出場することだ。そのためにも国際大会で結果を残し、世界ランキングを一つでも上げていきたい。一方で、多くの人たちからサポートを受けている身として、漫然とプレーするのではなく、『地域への貢献』『支援者たちへの恩返し』という思いを忘れずに戦っていきたい」と話している。