甚大な豪雨被害の地域へ出動 – 災救隊熊本教区隊
2025・9/10号を見る
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被災者に寄り添い 復旧作業に従事
8月6日から12日にかけて、低気圧と前線の影響により北日本から西日本の広範囲で大雨が降り続き、北陸地方や九州地方で「線状降水帯」が発生。九州地方では、多くの地域で河川の氾濫や土砂災害などの被害が発生した。
なかでも、1時間に110ミリ以上の大雨を観測すると発表される「記録的短時間大雨情報」が15回も発表されるなど、特に被害の大きかった熊本県では、玉名市や八代市など七つの市と町に「大雨特別警報」が発令された。人的被害のほか、住宅の全半壊が100棟以上、床上・床下浸水が合わせて5千棟以上に上った。また、土砂崩れや施設の損傷による林業・農業への影響も大きく、農林水産関係の被害額は、8月26日時点で約280億円となっている。
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こうしたなか、災害救援ひのきしん隊(=災救隊、冨松基成本部長)熊本教区隊(川﨑一保隊長)が、観測史上最大の大雨を記録した上天草市へ出動。地域気象観測システムの観測所が水没するなどの甚大な被害が出た、同市松島町阿村地区で復旧支援活動を展開した。
2トンダンプ計20台分の土砂などを撤去・搬出
熊本教区隊第1次隊は8月16日から18日にかけて、浸水被害に見舞われた信者宅4軒で作業。水浸しになった家財道具を搬出したほか、床下に溜まった土砂を手作業で土嚢に詰め、丁寧に取り除いた。期間中、延べ52人が出動した。
続く第2次隊は、上天草市ボランティアセンターの要請を受け、8月30日から9月1日にかけて被災民家へ出動。豪雨の影響で家のそばの斜面が崩れ、大量の土砂が敷地内になだれ込むなどの被害に見舞われた民家で復旧作業に力を尽くした。
隊員たちは、民家の裏に押し寄せた土砂を、重機を使用してダンプへと積み込んでいく。さらに、重機が入れない狭い場所はスコップなどを用い、手作業で土砂を取り除いた。期間中、延べ54人が出動し、2トンダンプ計20台分の土砂を撤去したほか、家財道具などの“災害ごみ”を搬出した。


住人の女性は「初めて被災したため、どう対応すればいいか分からず、不安で仕方なかった。作業してくださり、本当にありがたい」と謝辞を述べた。
川﨑隊長(62歳・人吉分教会長)は「出動の際は『被災者に寄り添った活動をしよう』と、隊員たちと心を合わせて動かせていただいた。焦ることなく、相手に合わせた実動を心がけることで、被災者の心を少しでも落ち着かせることができたように思う。今後も自治体や住民から要請があれば、迅速に対応したい」と話している。