ラグビー通じて非行防止呼びかけ – 話題
2025・10/15号を見る
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天理高校ラグビー部OBの寺尾道広さん
天理高校ラグビー部が平成2年に全国制覇を成し遂げた際の主将で、現在、大阪府警察で少年係長を務める寺尾道広さん(54歳)の発案により、先ごろ非行防止教室(ラグビークリニック)が催され、大阪市生野区の七つの中学校のラグビー部員約140人が参加した。
大阪市出身の寺尾さん。6人兄弟の四男で、ラグビーをしていた3歳上の兄・正治さんの影響を受けて中学からラグビーを始め、天理高校へ進学した。
ポジションはセンター。「自ら体を張って味方を生かすプレーを心がけていた」という。主将として臨んだ第69回「全国高校ラグビーフットボール大会」では天理高校を6度目の優勝に導き、高校日本代表にも選ばれた。「監督からは相手の気持ちを考え、常に感謝の心を忘れないよう指導を受けた。仲間たちにも『一手一つ、たすけ合いの心でプレーしよう』と呼びかけていた」と振り返る。
卒業後は大阪商業大学を経て、大阪府警へ。ラグビー部員が所属する大阪府警第一機動隊に勤務しながら、約10年間ラグビーの練習に明け暮れた。
子供たちに寄り添い
引退後は、少年係一筋に勤務。「約40年前の中学時代、学校は荒れていたが、ラグビーのおかげで道を踏み外すことはなかった。私なりに、やんちゃな子供たちに寄り添いたいと思った」。
現在の配属先へ赴任後、管轄区域の中学校に勤める大学時代の恩師と再会したことをきっかけに、ラグビークリニックの話が持ち上がる。その後、古巣である府警ラグビー部に全面協力を要請し、区内の中学校に参加を呼びかけた。
当日は、管内七つの学校からラグビー部員約140人が参加。あいさつに立った寺尾さんは「相手を思いやり、人の気持ちを理解し、困っている人を助けられる人になろう」と、子供たちに語りかけた。
この後、子供たちは府警ラグビー部の指導のもと、パス回しなどさまざまな練習に取り組んだほか、府警ラグビー部対中学校選抜チームで交流試合を行った。
寺尾さんは「今日“仲間”となった子供たちが、ラグビーを通じて相手を思いやることができる人に育ってくれれば」と話している。