日本で初開催のデフリンピックに教友たちが出場 – 天理スポーツ
2025・10/15号を見る
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耳が聞こえない、聞こえづらいアスリートのための国際スポーツ大会「東京2025デフリンピック」が11月15日、開幕する。同大会が日本で開催されるのは初めて。1924年の第1回大会から今年100周年の節目を迎えたデフリンピックに挑む、お道のアスリートを紹介する。
勇気を与えられる試合を
レスリング競技
久米田忠裕選手
天理大学レスリング部の久米田忠裕選手(3年)は、レスリング競技男子フリースタイル65キロ級と同グレコローマンスタイル67キロ級に出場する(写真)。
生まれつき耳が聞こえづらく、補聴器を使用している久米田選手。天理教校学園高校(当時)のレスリング部に所属していた兄の戦う姿に憧れて同高へ進学。「イメージ通りの動きができたり、練習した技が試合で決まったりする瞬間が楽しい」と、3年間レスリングに熱中した。
その後、同部の三谷豊人監督(現・天理大学レスリング部コーチ)の勧めで、天理大学レスリング部に入部した。
フリースタイルを得意とする久米田選手。相手の足元に入るタックル「ローシングル」を得意とする一方で、「投げ技は苦手」とも話す。
昨年10月に行われた「全日本大学レスリンググレコローマンレスリング選手権大会」では、72キロ級で5位入賞を果たす。現在、ディフェンスの甘さを課題に挙げ、本番に向けて相手選手のタックルを防ぐ練習に打ち込んでいる。
過去には耳が聞こえづらいことで精神的に落ち込んだこともあったが、「障害のあるアスリートが頑張る姿をテレビで見て、元気をもらった」と振り返る。
久米田選手は「メダル獲得を目指すのはもちろん、自分と同じような障害がある人たちに勇気を与えられるような試合をしたい」と意気込みを語る。
強みを生かした戦いに
自転車競技
藤本六三志選手
藤本六三志選手(30歳・谷村町分教会ようぼく・山梨県都留市)は、自転車競技(ロード)男子ロードレースに出場する(写真)。
天理高時代、生まれつき耳が聞こえづらいというハンデを抱えながらも、ホッケー部に所属。卒業後はホッケーの強豪・山梨学院大学でもプレーした。
自転車競技に出合ったのは3年前。趣味のランニングを続けるなか、相次ぐ足のけがに悩まされた。そんなとき、自転車は足への負担が少ないことを知って乗り始めて以来、「努力して結果を残したい」と、大会参加を目指すようになったという。
昨年9月の「秩父宮杯埼玉県自転車道路競走大会」では、一般中級クラスで3位入賞。今年4月、日本ろう自転車競技協会の強化指定選手に選ばれ、会社員として働きながら練習を続けている。9月に行われた「ツール・ド・ふくしま2025」では、男子80キロで総合16位、年代別で4位入賞を果たした。
大会のコースは上りが多いため、坂道で負荷をかけながらスピードを上げるトレーニングを続けている藤本選手。「自転車競技を通じて、デフリンピックの認知度や聴覚障害者に対する理解を高めていきたい。ロードレースはチーム競技なので、それぞれの強味を生かした戦いにしたい」と話している。
(山梨・藤本社友情報提供)
夫婦でのメダル獲得へ
自転車競技
早瀨憲太郎選手・久美選手
早瀨憲太郎選手(52歳・教会本部ようぼく・横浜市)は自転車競技(ロード)男子ロードレースに、妻の久美選手(50歳)は同女子ロードレースと自転車競技(マウンテンバイク)クロスカントリーに出場する。
ろう者向けの学習塾の運営の傍ら、映画監督としても活躍している憲太郎選手。平成17年、カナダ・トロントのろう者映画祭でグランプリを受賞した。
一方の久美選手は13年、ろう者として日本人初となる薬剤師免許を取得。過去の大会では、クロスカントリーで銀メダルを一つ、銅メダルを二つ獲得している。
これまでデフリンピックに3度出場してきた早瀨さん夫妻。夫婦そろってのメダル獲得を目指して4度目の大会に挑む。
下記から、早瀨憲太郎選手の活動を取り上げた過去記事をご覧になれます。
https://doyusha.jp/jiho-plus/pdf/20252015_hayase.pdf