素材と“対話”したジュエリーで身に着ける人の喜びを引き出す ジュエリーデザイナー・彫金作家 藤島政子さん – ようぼく百花
2025・10/15号を見る
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ジュエリー作品の芸術性やファッション性を競う日本最高峰のコンテスト「JJAジュエリーデザインアワード2025」(主催=一般社団法人日本ジュエリー協会)がこのほど、東京ビッグサイトで開催された。計61作品103点の応募の中から、ジュエリーデザイナー・彫金作家の藤島政子さん(74歳・吉松峰分教会永峰布教所ようぼく・松山市)の作品「風の旋律」が入選し、「山梨県知事賞」を受賞した。
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地元・松山を拠点に、48年間にわたりジュエリーのオーダーメードやリフォーム(古くなったデザインのアクセサリーなどを新しいデザインに作り変えること)を手がけてきた。
自宅内に設けた「絵夢工房」で、自らの感性と長年の経験から培われた技術を生かし、素材の色、輝きを美しく組み合わせながら金属の加工、デザインなど繊細な作業に取り組む。一方、観光客でにぎわう松山ロープウェー商店街にある直営店「彫金ギャラリー絵夢」では、新しいオーダーや修復の相談に訪れる客が後を絶たない。
想いを形にして
「いつの時代も活躍できる職業として、ジュエリーデザイナー・彫金作家に惹かれた」。未信仰家庭で育った藤島さんは、東京都のジュエリー専門学校「ヒコ・みづのジュエリーカレッジ」で製作技術を磨いた。卒業後、松山に戻り、27歳のとき、「彫金ギャラリー絵夢」とジュエリー教室を開設した。
その後、知人の永田礼子・同布教所長夫人の紹介で夫・寛昌さん(72歳)と出会い、結婚。お道の教えにふれ、夫婦がそれぞれ修養科に入り、ようぼくの仲間入りを果たした。
平成4年、有限会社「絵夢」を設立。各種コンテストで藤島さんの作品が入賞を重ねるなか、16年に店舗を現在地へ移転し、22年には東京にも工房を設けた。
店舗には、遺族などへの想いを形にしたいと訪れる人が少なくない。「お客さんの思いや背景をしっかり受けとめてから製作に取りかかる。金属にはそれぞれ個性があり、こちらの思い通りにはいかないからこそ、素材と対話し、向き合いながら形を作っていく」
昨年1月、「長年培ってきたスキルを試そう」と、同アワードへの応募を決めた。
出品作「風の旋律」は、目に見えない“風”をテーマに、複数のゴールド合金を組み合わせた帯で風の流れを表現。風と戯れる蝶と花をルビーとダイヤモンドで形作る構想を練り、3カ月間、試行錯誤を重ねた。
結果、「山梨県知事賞」を受賞。作品は8月下旬、東京ビッグサイトで開かれた「ジャパンジュエリーフェア2025」で展示された。
「思いもよらぬ受賞に驚くとともに、格式ある大会で評価していただいたことを光栄に思う。支えてくれた夫や従業員に感謝の思いでいっぱい」
藤島さん夫妻は毎日のおつとめを欠かさず、布教所の月次祭にも可能な限り参拝。かつて会社経営が苦境に立たされたとき、信仰を心の支えにして乗り越えてきたという。
「つらい出来事も、すべて神様のお導きと受けとめることで、前を向いて歩みを進めることができた」
日夜、工房で真心を込めたジュエリーを製作する傍ら、従業員や教室の生徒の育成にも力を注ぐ。「この仕事を始めて50年、ジュエリーを身に着ける人に安らぎを感じてもらいたいという信念は変わらない。これからも、結構にお連れいただいていることへの感謝を胸に、お客さんの喜びを引き出せるようなジュエリーを届けていきたい」と話した。
(東京・磯貝社友情報提供)