60年を超える学術交流 次代へ継承 – 天理大学・マールブルク大学 共同研究プロジェクト
2025・10/29号を見る
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天理大学(永尾比奈夫学長)と同大の学術交流協定校であるドイツ・マールブルク大学(トーマス・ナウス学長)は10月11、12の両日、天理大を会場に「共同研究プロジェクト」を実施した。中山正善・二代真柱様がマールブルク大での国際宗教学宗教史会議に出席されたのを契機に、60年以上にわたり交流を重ねてきた両大学。天理大の創立100周年記念事業の一環として実施された今回は、「宗教との邂逅――旅・紀行・もの」をテーマに、両校の研究者16人が活発な議論を交わした。
両校はこれまで、共同研究プロジェクトとして、国際シンポジウムを3回開催。平成18年の初回は「相互行為としての祈り」、22年の2回目は「清める――心と身体の宗教的受容」、26年の3回目は「宗教と文化におけるマテリアリティ(もの・かたち)」をテーマに、それぞれ実施した。
同プロジェクトの4回目となる今回は、「宗教との邂逅――旅・紀行・もの」をテーマに、両校の研究者が研究成果を発表したのち討議を行い、現代世界における宗教の意味を見つめ直すもの。
11日午前9時30分、スタート。両校の研究者は、グローバル化によって人やものの移動が活発になった現代において、異なる宗教的思想や文化との出合いから生まれる新しい価値観を、さまざまな旅の記録やものに刻まれた旅の記憶から論じた。その後、討議の時間が持たれ、意欲的な議論が交わされた。
マールブルク大のバーベル・ベインハウアー・ケルヒャー博士は「天理大学の創立100周年という節目に招待していただき、うれしく思う。宗教に関する確かな学術的視座と、宗教的な出合いの歴史についての深い知識を双方が持っており、活発で有意義な議論ができた。若手の研究者も多く参加していたので、今後は彼らをマールブルクに招きたい」とコメントした。
東馬場郁生・天理大宗教学科教授は「本校の創立100周年に際し、創設者である二代真柱様と関係の深いマールブルク大学との協力関係を一層深めることができた。今プロジェクトは、『国際性』を謳ううえで良い貢献になったと思う。また今回、マールブルク大学の研究者に、二代真柱様の著作や天理図書館の稀覯書を題材にして他宗教との出合いについて論じてもらえたことは、私たちが足元を見つめ直す機会にもなった。今後も、ますますの協力関係の深化と発展を願っている」と述べた。
COLUMN
天理大とマールブルク大の交流の歩み
プロテスタント系の大学として世界最古の歴史を持つマールブルク大。天理大との交流の始まりは、1960年に行われたマールブルク大での第10回「国際宗教学宗教史会議」に出席された二代真柱様が、その2年前の第9回会議のために来日した同大学のフリードリヒ・ハイラー教授(1892~1967)と再会し、旧交を温められたことにある。以後、両校は学術研究をはじめ、音楽やスポーツなどを通して交流を深めてきた。
75年には、マールブルク大の提案により、同大学中央図書館で「陽気ぐらし」をテーマとする「天理教展覧会」が開かれ、中山善衞・三代真柱様がご訪問。その後、真柱様も現地へ赴かれたほか、96年には両大学の学術交流協定が締結された。









