流動化世界でこそ信仰を強固に – 視点
2025・11/12号を見る
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海外から訪れる外国人を積極的に誘致しようという日本政府のインバウンド政策により、訪日外国人数は増加の一途を辿っている。おぢば周辺でも、本部神殿南礼拝場前で写真撮影をしている外国人観光客の姿を頻繁に目にする。
インバウンド政策が目に見えて数字で表れたのは2013年だ。日本政府観光局の統計データによると、この年、訪日外国人旅行者数は初めて1,000万人を突破した。その後、コロナ下を経て、24年には3,700万人近くの外国人が日本を訪れた。10年余りの間に、訪日外国人は実に4倍近くに増加したことになる。
一方で、日本には現在33万人に上る特定技能実習生が滞在しており、政府は今後4年間で82万人に増加することを見込んでいる。
EU諸国では、これまでイスラム教徒の移民・難民増加が社会問題となってきた。たとえば、イギリス国内に住むイスラム教徒は約400万人で、人口全体の約6%に当たる。イギリスは1950年代から出稼ぎの季節労働者を安価な労働力として受け入れてきたが、その大半が男性であった。その後、EU諸国では、欧州人権規約に基づく家族再統合制度を用いて、家族を本国から呼び寄せて定住させたり、難民を受け入れたりした結果、各国で暮らすイスラム教徒は増加した。現在、イギリスで生まれた第二世代以降の人々のうち、実に94%がイギリス国籍を取得し、イギリス人ムスリムとして生活している。
本教では、海外布教を目的に渡航し、海外拠点を設立することで世界たすけの歩みを進めてきた歴史がある。1927(昭和2)年11月3日、アメリカ初のサンフランシスコ教会が設立され、同月27日の教規改正により海外教会は「○○教会」とすることが決定された。教会の設置や布教公認は、各国の政情に左右される状況にあるが、私たちの信仰それ自体が否定されることはない。
海外渡航はもとより日本国内であっても、進学や就職、引っ越しを機に周囲の状況が一変することがある。そうした状況になくとも、昨今のインバウンドの急増など、私たちが暮らす社会は目まぐるしく変化している。流動化する状況にあるからこそ、親神様を信じ、教祖を慕う気持ちを日々強固にしていくことが、なお一層重要であろう。世界が加速度的に変化し、多様な価値観にふれる中で、「だめの教え」を心の拠り所として、自らの信仰のあり方を常に確かめていきたい。
(澤井)









