戦えることに感謝してリーグ全勝で大学選手権へ – 天理大学ラグビー部
2025・12/10号を見る
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天理大学ラグビー部は、11月30日に東大阪市花園ラグビー場で行われた「関西大学ラグビーAリーグ」最終節で、京都産業大学と対戦。両校ここまで全勝でリーグ戦を勝ち抜き、関西王者が決まる今試合、天理大学は粘りのディフェンスを見せ、47‐15で勝利。2年連続14回目の関西制覇を成し遂げた。
今年6月11日、同部に所属する学生2人が麻薬及び向精神薬取締法違反の容疑で逮捕された。天理大学では、事案判明当日に対策本部を設置し、警察の捜査に全面協力するとともに、事実関係などの調査を行い、再発防止をはじめとする対策について検討を進めた。
その後、捜査当局による検査の結果、ほかの部員に大麻の所持等が疑われる所見は認められず、天理大学が独自に実施したラグビー部全部員への任意の尿検査でも対象者全員が陰性という結果になった。
そのうえで、同部には7月末までの活動停止処分、同部部長の解任および監督の3カ月間の職務停止、ほかの指導者に対する厳重注意処分が下された。
以後、同部は全部員を対象にしたコンプライアンス研修や寮の管理体制の再構築など、再発防止に向けた取り組みを続けてきた。
試合ができる喜びを噛み締めながら
8月、活動を再開した同部は、夏恒例の菅平合宿に参加。体力面や実戦での連携など準備不足が多々見られ、帝京大学や早稲田大学など関東の強豪に敗れる結果に終わった。
合宿の報告を受けた小松節夫監督(62歳)は「とにかく試合できたことが良かった。報告を聞き、リーグ戦を戦い抜く力はあると感じた」と話す。
その後、リーグ開幕まで時間がないなか、ディフェンス面の強化に注力。体を当てて、しっかり走って守りに励むことを中心に、あらためてチームづくりに努めてきた。
9月14日、関西大学リーグが開幕。小松監督は「皆、試合ができることを『有り難い』と感じていた」と当時の雰囲気を振り返る。
関西大学との初戦に勝利すると、その後も白星を重ねていく天理大学。11月16日に近畿大学に勝利し、京産大との優勝決定戦に臨んだ。
前半5分、天理大学は何度も攻撃を重ね、最後は抜け出した朝倉達弥選手(4年)が先制トライ。その後もトライを重ね、前半を21‐8で終えた。
後半、自陣トライライン際の攻防を何度も跳ね返し、京産大の得点を許さない天理大学は、逆にチャンスをものにし、点差を広げる。
後半46分、京産大のパスをインターセプトした上ノ坊駿介キャプテン(4年)が約80メートルを走りきり、ダメ押しのトライを決めてノーサイド。47‐15で全勝優勝を達成し、2年連続14回目の関西制覇を決めた。
この結果を受け、天理大学は現在開催中の「全国大学ラグビーフットボール選手権大会」に出場する。天理大学の初戦は12月20日、大阪市のヤンマースタジアム長居で行われる準決勝で、関東大学対抗戦Aグループ3位と関東学院大学の勝者と対戦する。
今年7月、同部部長に就任した岡田龍樹・天理大学副学長(65歳)は「部員の中には大学が下した処分が軽いのではないかと提言する者がいるなど、仲間が起こした不祥事に対する連帯責任を強く感じていた。その中でも、8月の練習再開時に胸を張ってグラウンドに立てるよう、それぞれが自己を律し、ラグビーにひたむきに取り組むことを誓っていた。このたびの不祥事は、部員にとっても大きな心の痛手となったが、それを乗り越えられたのは、教内の皆さまをはじめ天理ラグビーを応援してくださる方々の支えがあったおかげにほかならない。多くの人たちのさまざまな支えがあるからこそ、同部も大学も存在し、学生たちが成長できるのだと、あらためて感じる。このたび、リーグ優勝で大学選手権に出場させていただくことになった。選手たちは多くの人たちの支えがあることを忘れず、これまで通りひたむきにラグビーと向き合い、一戦一戦を戦っていく。引き続き、温かい応援をお願いしたい」と話した。
天理大学ラグビー部の関西大学リーグ最終戦の動画を視聴できます。












