おやのことば・おやのこころ(2022年10月12日号)
2022年10月12日
おやのことば・おやのこころ 物は大切にしなされや。生かして使いなされや。すべてが、神様からのお与えものやで。
『稿本天理教教祖伝逸話篇』138「物は大切に」
毎月、教会月次祭の日の夕方に、妻と二人で近所にお下がりを配っています。その中に、80代のご婦人Kさんのお宅がありました。9年ほど前、妻が『人間いきいき通信』を持って訪問したのをきっかけに、庭先のチューリップの植え替えのお手伝いに行ったり、祭典日に足を運んでくださったりと、ささやかな交流が続きました。
いつからかKさんは、私たちが訪れると、ある“お土産”を持たせてくださるようになりました。それは、新聞の折り込みチラシで作った簡易のくず入れの束です。留守中に訪問した数日後、丁寧に教会まで持参してくださったこともありました。
料理や食事の際に出るちょっとしたごみなどを捨てるのに重宝するのですが、何しろ毎月たくさんの量を頂くので、使うペースを上回り、欲しい人に配っても余ってしまいます。「まだあるので、今月は結構です」とも言いづらく、いつしか束の山ができていました。その後、妻が身上で入院したこともあり、しばらく訪問できない時期が続きました。
同居する娘さんから、Kさんが持病を悪化させて亡くなったと聞かされたのは、妻の退院後、久しぶりに訪問した今年の春先のことでした。いま、新しいくず入れを広げるたびに、Kさんの柔らかな笑顔を思い起こすとともに、どんな物も生かして使う大切さを胸に刻み直しています。
(榊)