大学中退を考える息子を励ましたい – 人生相談
Q. 離れて暮らす大学2年生の息子が、中退を考えているようです。話を聞くと、将来やりたいことが分からなくなったとのこと。漠然とした不安を抱える息子を励まし、前を向かせるために、どんなサポートができるでしょうか。(50代男性)
A. 励ましといえば、「頑張れ」「負けるな」と声をかけて元気づけることです。これは、ある目標に向かって努力しようとしている人には有効ですが、困難な状況にある人は逆につらくなることがあります。本人なりに頑張っているのに「頑張れ」と言われると、自分が否定されたように感じ、情けなくて、相手を避けたくなるのです。
そのような場合は「受容的励まし」が有効です。困って悩んでいることを非難せずに受けとめ、「つらいね」「悩むのは変ではない」と受け入れることです。受け入れられた息子さんは味方ができたことで、落ち着いて考える力も出てきます。
息子さんの胸中を推測してみましょう。「大学の勉強も出席も大事だ」「でもやる気が出ない」「進路選択を間違えたかも」「しかし自分は何がしたいのか分からない」「親には多額のお金を出してもらって迷惑をかけている」「どうしたらいい?」「誰も分かってくれない」「中退して楽になりたい」などと思いを巡らせていそうです。
その葛藤、後悔、不安、抑うつ、罪悪感などに共感できれば「焦らないでいい」「無理しなくていい」と優しい言葉も出てくるでしょう。
息子さんの力を信じ、話をじっくり聴くこと。それも大きな受容的励ましとなります。
回答者:古市俊郎 (福之泉分教会長・公認心理師)