おやのことば・おやのこころ(2021年6月6日号)
二ッ ふじゆうなきやうにしてやらう
「みかぐらうた」九下り目
かみのこゝろにもたれつけ
三十数年前、米国シアトルの大学へ2年間留学しました。初海外の妻と生後8カ月の長男を伴っての大学院での勉学は決して容易でないと、不退転の覚悟で臨んだことを覚えています。
留学中の心の拠り所は、ハイシアトル教会の存在でした。授業の準備や課題に追われるなか、毎週末に家族そろって参拝することが楽しみでした。異国の地で布教師として筆舌に尽くし難い苦労を経験された平井会長夫妻は、いつも私たちを家族同様に温かく迎え、うれしそうに苦労話をなさいました。
その中で忘れられない話があります。平井会長夫妻は毎月、約1,800㌔離れたアメリカ伝道庁の月次祭に参拝します。ある月、精神を病んで重罪を犯した男性を保護観察中に預かるさなかに、その男性と子供たちを教会に残して伝道庁へ向かったそうです。銃を所持していた男性は、不敵な笑みを浮かべて銃を磨いていたといいます。
いつ暴れだし、発砲するかもしれない状況で、平井会長夫妻は神様にもたれきり、車で片道18時間かけて伝道庁へ運び、月次祭に参拝することで、いかなるご守護も頂けるとの揺るぎない信仰を身につけておられたのです。
「二ッ ふじゆうなきやうにしてやらう かみのこゝろにもたれつけ」
おたすけの現場では、どこまで神様にもたれきれるかを試されることが、たびたびあります。平井会長夫妻から学んだおたすけの心構え、神様にもたれきることの大切さは、のちに携わることになった豪州での布教伝道の大きな心の支えになりました。
(あ)