“AI嗅覚”で分析したら – 視点
近年、AI(人工知能)を活用して匂いを客観的に捉える技術が発達している。その“AI嗅覚”が、私たちの生活を大きく変えようとしている。
国立研究開発法人物質・材料研究機構のグループリーダー・吉川元起氏が開発した嗅覚センサーは、人間の鼻と同じように、匂いの分子の組み合わせを一組の信号として認識し、そのパターンをAIに学習させた。その結果、何の匂いか判断することができるようになったという。
また、人が吐く息から「がん」を早期発見する試みも進んでいる。がん細胞には、正常の細胞とは異なる特徴的な匂いがあることが分かっており、この匂い成分を“AI嗅覚”で捉え、がんの早期発見につなげようというのだ。
人間は緊張したりストレスを感じたりしたときも、独特の匂いが出るという。“AI嗅覚”で匂いを分析することで、当人の体と心の健康が指標化できる日が近づいている。
一方で、AIによって人間の体と心の状態が分かったとしても、その問題が解決するわけではない。匂いの元を、どう健全に保つかが大切になる。
本教では、教えを伝えることを「にをいがけ」という言葉を用いて教えられている。その人ならではの“にをい”を通じて、陽気ぐらしの教えの一端を伝えていくのである。
私たちようぼくのにをいがけによって、親神様の存在と教祖のひながたを知ってもらう――。人間の体と心を健全に保つ一番の近道を伝える、私たちようぼくの使命は大きい。
人に教えを伝えるとき、自分が教理を咀嚼できていなければ納得してもらえない。私たちが〝陽気ぐらしのにをい〟を身につけるためには、日ごろから求道の精神を忘れず、ひながたに照らして自らの信仰姿勢を素直に見つめ直すことが欠かせないと思う。
“AI嗅覚”でようぼくの匂いを分析したとき、どんな判断が出るかは分からないが、“陽気ぐらしのにをい”を醸し出せるように、をやを慕い、道の先人に倣って素直に道を求めていきたい。
(ひ)