おやのことば・おやのこころ(2021年7月4日号)
月日にハせかいぢうゝハみなわが子
たすけたいとの心ばかりで
「おふでさき」八号4
20年前、札幌で布教中に男性Nさんと出会いました。一流企業の支店長を勤めるNさんは40歳で離婚。50歳で交通事故に遭い、足に人工関節を入れて障害者に。仕事復帰もできず、朝から酒に溺れる毎日を送っていました。
8カ月が経ったころ、やっとの思いでおぢばへお連れしました。別席を勧めるも、Nさんは人の話を5分と聞けない人。頑として断られ続けましたが、拝み倒して別席場へ。渋々聞いたお話でしたが、思いのほか心に響いたようで、帰り道に「心に響く良い話だったよ」と笑顔で話してくれました。
翌年には二度目のおぢば帰りをし、あれほど拒んでいた別席を5席運びました。その5席目を運んで詰所に戻ってきたNさんは、開口一番「今日の話は一番良かったなあ」と。席札をのぞくと、そこには中山善衞・三代真柱様の捺印が。教えにふれて日の浅いNさんは、三代真柱様のお立場もお顔も存じ上げません。その日も、それまでも、しっかり話を聞き、何かを感じ取っていたのだと胸が熱くなりました。
「月日にハせかいぢうゝハみなわが子 たすけたいとの心ばかりで」
1年後、Nさんは無茶な飲酒がたたり、57歳の若さで出直しました。札幌の路上で昼から酔いつぶれていたNさん。おぢばへ二度帰り、三代真柱様のお話を目の前で聞かせていただいた。これほど有り難いお引き寄せはありません。Nさんの心がたすけられた姿は忘れえぬご守護です。
(な)