全日本選抜大会で準優勝 – 天理大大学院生・同大レスリング部コーチ 福井裕士選手
天理大学大学院生で天理大レスリング部のコーチを務める福井裕士選手(32歳・樽水分教会愛知川布教所ようぼく)は5月末、東京・駒沢体育館で行われた「明治杯 全日本選抜レスリング選手権大会」男子フリースタイル125キロ級に出場し、準優勝に輝いた。
天理高校第2部では柔道部に所属。4年時に全国高校定時制通信制大会の個人戦で優勝する。
その後、天理大でレスリングに出合う。「始めて1年半は全く結果が出なかった」が、6キロのジョギングと2時間のウエートトレーニングを地道に続けた。そして2年時の夏、西日本新人戦で初優勝すると、4年時には「全日本レスリング選手権大会」フリースタイル96キロ級で、創部初となる3位に食い込んだ。
めきめきと実力をつけた福井選手は、全国からエリート選手が集う自衛隊体育学校へ進む。一般自衛隊員と共に半年間の訓練を積んだ後、隊チームに合流した。
チームではセレクションが毎年行われ、選手が激しく入れ替わる。ロンドン五輪金メダリストの米満達弘さんらがコーチとして指導するなか、国際試合での活躍を目指して研鑽を重ねた。
その練習量は想像を超えるものだった。「トレーニングは量を重視する傾向にあり、かなりきつかった。大学時代、自分なりにしっかり鍛えたつもりだったが、当初は体がついていけなかった」と振り返る。
8年間の在籍中に、海外のトップ選手が集まる「ゴールデン・グランプリ決勝大会」で5位入賞。在籍終盤の2年間はチームの主将を務め、一昨年の「全日本社会人選手権」フリースタイル男子125キロ級では初優勝を果たした。
おぢばへの恩返しを
2020年、天理大大学院へ進学した。そこには「おぢばの学校で育ててもらったことへの恩返しを」との思いがあった。大学院で学びながら、天理大レスリング部のコーチとして後輩の指導に当たることにした。
福井選手は「これまで多くのトップアスリートの成長や苦悩、そして引退を側で見てきたことで、指導者としての“目”が養われたと思う」と話す。
指導に際しては「トレーニング方法を確立していても、選手自身にモチベーションがないと効果はない。まずは、選手のレスリングへの気持ちをどれだけ高められるかを課題に、いまの時代に合ったやり方を監督と話し合っている」という。
大学院では「レスリング選手の体力的特性と体幹伸筋群に対するトレーニング効果」をテーマに研究。その傍ら、午前中の2時間を自身の練習に費やす。
先の明治杯では、10年ぶりに天理のユニホームを着て臨むと、大学王者との準決勝を難なく制し、決勝では自衛隊学校の後輩であり、全日本選手権大会で3度の優勝経験がある山本泰輝選手と対戦。序盤は2度の「指導」を与えられ、リードを許した。終盤にタックルで押し出してポイントを奪ったが、一歩及ばず。2‐1で敗れた。
福井選手は「この結果が、指導する選手たちの刺激になればうれしい。ただし、私にとっての今の喜びは、選手が結果を残すことなので、西日本リーグでの優勝を目標に、指導に力を注いでいきたい」と話している。