過去の不信感から親孝行できない – 人生相談
Q. 現在、夫と子供に囲まれて幸せな毎日を送っています。しかし幼少期は、両親の暴言を受けて育ちました。いまでは両親が優しく接してくれるようになり、私も水に流して親孝行しようと思うようになりましたが、なかなか素直に実行できません。(40代女性)
A. 親に優しくしようと思っていても、顔を見たら過酷な過去を思い出して優しくできないのですね。あなたにとって、それほどつらいことだったのでしょうね。
私たちは「いま」「ここ」の現実を生きていますが、過去と切り離すことはできません。過去の経験や記憶が、現在の私たちを少なからず縛っているのです。なかでも「私はAだからBなのだ」という思い込みがあると、望み通りに生きられなくなります。その思い込みは正しいものなのか、冷静に考えてみる必要があります。
あなたは、幼少期に両親の暴言を受けて育てられたにもかかわらず、いまは良き夫と子供に囲まれて、幸せな毎日を送っています。しかも、その両親は優しい性格に変わり、その結果あなたは、そんな両親をすでに許し、親孝行しようと思うほどの素晴らしい大人になりました。いま幸せに暮らしていること自体、あなたはもう親孝行をしています。ですから、もう遠い過去に縛られる必要はありません。
人の心は思い込みや口癖に左右されるものです。「だから」ではなく「なのに」という言葉を使うように強く意識しましょう。「両親の暴言を受けて育った。なのに、いまはこんなに幸せな私。なんてありがたいことだろう」と。
回答者:古市俊郎(福之泉分教会長・公認心理師)