リーダーのあり方いろいろ – 人と関わる知恵
金山元春
天理大学教授・本部直属淀分教会淀高知布教所長
今回は集団を育成するリーダーのあり方について論じます。社会心理学者の三隅二不二博士は、リーダーシップを、P(パフォーマンス)機能―集団の目標達成や課題遂行を促す働きと、M(メンテナンス)機能―集団をまとめる働きから捉え、①PM型(P、Mともに強い) ②P型(Pが強く、Mが弱い) ③M型(Pが弱く、Mが強い) ④pm型(P、Mともに弱い)の四つに分類しました。
教育心理学者の河村茂雄博士は、この理論に基づいて、教師の指導態度を、①強い指導力と気遣いを併せもつPM型 ②一貫して厳しく指導するP型 ③穏和でこまやかな気遣いができるM型 ④放任的なpm型に整理しました。そして、教育現場における実践研究を通じて、教師が意識して指導行動を修正しない限り、同じ教師が担任する学級は、同じような集団状態に至ることを見いだしました。
このエッセーでこれまでに紹介した集団との関係についてまとめると次のようになります。①PM型→互いを認め合い、切磋琢磨する満足型集団 ②P型→人間関係が希薄で、堅さのある管理型集団 ③M型→ルールが疎かで、ゆるみのあるなれ合い型集団 ④pm型→ばらばらな集団
これは教師に限ったことではありません。リーダー役を担う際には、自分の態度が集団の状態に強く影響することを心得ておきましょう。もともとの人柄として「言うべきことは言うけれど、親しくなるのに時間がかかる」という人はいるでしょう。その一方で、「親しい関係をつくるのは得意だけれど、毅然と指導するのは苦手」という人もいます。それぞれの人柄に優劣はありませんが、リーダーとしての役割を果たすためには、集団の状態を捉え、自分に求められているリーダーシップは、P機能なのか、M機能なのかを理解して、それを自覚的に発揮しながら集団を育てていく必要があります。
リーダーと副リーダー、担任と副担任のように、リーダー層の人間が複数いる場合は、それぞれに得手不得手があっても、互いの足りない部分を補い合うことができます。その場合は、役割分担について共通理解を深めるようにしましょう。