「松下政経塾」一行が親里へ研修訪問
「命知元年」を追体験
松下電気器具製作所(現・パナソニック)創業者である故・松下幸之助氏が設立した「公益財団法人松下幸之助記念志財団 松下政経塾」の一行6人が10月22日、親里に来訪。本部神殿で参拝した後、住原則也・天理大学教授の案内で、幸之助氏が訪れたとされる管内施設を巡った。
松下政経塾は昭和54年、当時の混迷を極める国情を憂えた松下幸之助氏が、新たな国家経営を推進する指導者の育成を目指して設立したもの。4年間の実習や研修を経て、多くの卒塾生が、政治家や会社経営者として第一線で活躍している。
今回の来訪は、今年入塾した42期生5人が、塾主・幸之助氏の考え方を学ぶ研修として行われたもの。
幸之助氏は昭和7年3月、天理教信者の知人に熱心に誘われ、初めて親里を訪問。神殿をはじめ、管内施設を約10時間にわたって見学した。当時は、教祖50年祭へ向かう「昭和普請」のさなかであり、氏は全国各地から寄り集った大勢の信者がひのきしんに励む姿に深い感銘を受けたとされる。
同年5月5日、幸之助氏は製作所の全社員を集め、天理で見たことを話したうえで、独自の経営哲学を宣言。自らの使命を知った昭和7年を「命知元年」と定め、5月5日を「第一回創業記念日」として、事業の理念や組織体系を一新した。
塾主ゆかりの地を訪ねて
この日、インフォメーションセンターに集合した一行は、幸之助氏が天理を訪れた際に見学した施設について、当時のおぢばの風景写真などをもとに、住原教授から説明を受けた。
その後、保安室境内掛員の案内で三殿参拝。続いて、教祖墓地、天理大学1号棟(旧天理外国語学校校舎)、天理図書館を見学した。
榎本浩之・松下政経塾研修局研修一部部長(53歳)は「今年も塾主ゆかりの地である天理を訪ねることができた。広大な神苑や、信者の方々が真剣な面持ちで回廊を拭く姿は目を見張る」と話す。
また塾生の一人、伊崎大義さん(26歳)は「塾主が見聞きしたものを追体験することで、その経営理念の一端を知ることができた。『陽気ぐらし』の教えは、人のための政治を目指すうえで大切な考え方だと感じた」と語った。