天理時報2024年5月29日号8面
【JAPAN XV(フィフティーン) 主将として活躍 – 天理大学ラグビー部 太安善明選手】天理大学ラグビー部の太安善明選手(2年)は、JAPAN XVのキャプテンとして、先ごろサモアで行われた「ワールドラグビーパシフィック・チャレンジ2024」に出場。3戦全勝で2020年大会以来、2度目の優勝に貢献した。中学で初めて楕円球に触れた太安選手。「体をぶつけ合うのが楽しい」と熱中する一方で、「パスはあまりうまくなくて、足も周りに比べて遅かった」と振り返る。その後、天理高校へ進むと、3年時にはキャプテンとして〝花園〟へ。チームを18年ぶりのベスト4入りに導いた。ポジションは主にFWの要・NO8。天理大学進学後も、1年生ながらリーグ戦や大学選手権に出場した。JAPAN XVは、日本代表のセカンドシニア代表チームとして、U20日本代表候補メンバーの中から編成される強化チーム。太安選手は2月からU20日本代表候補合宿に参加。「ジャパンラグビーリーグワン」のチームと対戦する中で、格上の選手らに臆せず身体を張り続ける姿勢が首脳陣に高く評価された。そして大会直前合宿の場で、今チームの主将に任命された。「『まさか自分が』と驚いたけれど、選ばれたからにはキャプテンとして自分にできることをしっかりやろうと思った」。また、4年前の前回優勝時のチームに天理大学OBが参加していたこともあり、「絶対に優勝したい」と意気込んで大会に臨んだ。迎えた大会では、初戦のサモア戦を48‐5と快勝。続くフィジー戦は、試合終了間際に執念のトライを決めて45‐43で逆転勝ち。最終のトンガ戦は、テンポよくトライを量産し、65‐15と圧倒。3戦全勝で2度目の優勝杯を手にした。太安選手は「海外の選手にも自分たちのプレーが通用するという手応えを感じた。厳しいトレーニングを重ねてきた成果を、本番の『ワールドラグビーU20トロフィー』で発揮して勝ちきりたい」と抱負を語る。なお今大会のメンバーには、天理大学から森仁之輔選手(3年)、川越功喜選手(2年)も選ばれ、試合に出場した。「ワールドラグビーU20トロフィー」は、7月2日からスコットランドで行われる。日本の初戦は同日、香港代表と対戦する。, 【正しきことに使ってこその“力” – 手嶋龍一のグローバルアイ35】「きょうは君が始球式で投げるんだよ。ファーストピッチの用意はできている?」大谷翔平がドジャース球場でこう話しかけたのはアルベルト君だった。生まれながら心臓に疾患を抱え、生後13日目に早くも心臓手術を受けている。その後も腹部や心臓の手術を繰り返しながら、地元のリトル・リーグでは強打者として知られる。そんな野球少年の前に憧れのスーパースターが突然あらわれ、サイン入りのボールとユニフォームをプレゼントしてくれた。その後、大谷に伴われてマウンドにあがった彼が投げた球をキャッチャー役の大谷がワンバウンドでさっとすくいあげた。アルベルト少年は「はじめは驚いて30秒ほど息ができなかった」と嬉しさを全身で表した。当初は、真美子夫人に始球式をという打診があったのだが、ふたりで相談してこの素敵なプレゼントを思いついたという。この出来事には見逃せないメッセージが込められている。アメリカの少年野球は、強豪高校に進む下部組織などではない。ベンチを温めたまま、試合に出られない選手がいないよう、選手数に上限を設けて皆が試合を楽しめるよう工夫している。さらにアルベルト君のように難病と闘う少年・少女も積極的に迎え入れてきた。大谷夫妻は、リトル・リーグが掲げる精神に共感し、彼を招いたのだろう。筆者がホワイトハウスでインタビューするジョージ・W・ブッシュ大統領を待ち受けていた時だった。補佐官の女性が少年を伴って部屋にあらわれ、「大統領の椅子に少年を座らせてくれますか」と頼まれた。少年は重い小児がんを患っており、ファースト・レディのローラ夫人が招いたと後で知らされた。少年が入院していた小児がん専門の病院には付き添い家族が泊まれるホテルが併設され、全米から支援が寄せられていた。アメリカは強大な力のゆえに偉大なのではない。その力を正しきことに使ってこそ偉大なのである。野球の世界を超えて大きな存在となった大谷翔平は、あるべき強者の姿を世界に向けて示している。