天理時報2021年12月8日号5面
ヒューマンHUMANSPECIALフードセールでは、教友や地域住民たちと共に、行き場がなくなった肉と野菜を使ってお弁当を作り、ドライブスルー方式で400人のもとに届けた教会建物も一時閉鎖せざるを得なくなり、信者が朝夕のおつとめや月次祭に参拝できない事態となった。こうしたなか、岩田さんは今できる活動を模索。ハワイ全土がマスクや消毒液不足などの問題に直面する中で、ホノルルの繁華街でアジアンフードのレストランを経営する照屋・ジョン・ヒサオさん(58歳・同教会ようぼく)から、観光地の深刻な状況を聞いた。以前は観光客や地元の人たちでにぎわっていたレストランは、全店舗が営業停止し、地域住民は外食すらできなくなった。レストランと提携する農家は収入が減り、すでに仕入れた肉や野菜のほとんどが売れ残る窮状に陥っていた。「”おたすけ”をさせてもらおう」。そう決意した岩田さんは、照屋さんと話し合いを重ね、行き場がなくなった肉や野菜を使って弁当を作り、地域の人たちが感染への恐怖を感じることなく購入できるように、ロックダウン中でも営業可能なドライブスルー方式でフードセールを実施することに。事前に予約を受け付けた人たちに車で教会まで来てもらい、8人前のファミリーセット約100人分の食料を提供した。さらに、その売上をもとに、医療従事者やNPO団体の人向けに、新たな弁当を作ったり、防護用品を届けたりした。「どんな状況でも自分たちにできることを見つけ、それを実践しただけ。私たちの活動によって、地元の人たちに笑顔が見られるようになった。すると、教会の信者さんだけでなく、地域の人たちからも『次はどんなことをするの?』という期待の声を聞くようになった。困っている人たちのために何かしたいという気持ちが、地域全体で強くなってきたように思う」住民の推薦でノミネートその後もNPO団体と協力し、小児がんで闘病生活を送る30人以上の子供たちとその家族の支援活動に従事。さらに、コロナ禍で葬儀場が閉鎖されたことを受け、教会施設を会場に、オンラインで葬儀を行ったり、教会の一角をコロナワクチンの接種会場として提供したりするなど、多岐にわたる活動を展開していった。一方、岩田さんのもとにも思わぬ支援者が現れる。岩田さんの支援活動に共感したビジネスオーナーが、教会への支援を申し出たのだ。後日、オーナーと従業員たちが教会を訪れ、ドアの修理や床の張り替えを無償で行ってくれた。こうしたなか、先ごろAARPが主催するボランティアコンテストで、岩田さんが「ボランティア・アワード」のファイナリスト5人のうちの一人に選ばれた。AARPは、全米3千800万人の会員を有し、50歳以上の人をサポート支援する団体。岩田さんは地域住民の推薦でノミネートされたのだ。岩田さんがファイナリストに選ばれたことが、AARPのウェブサイトや地域のニュースレターに掲載されると、協力者が増え、さらに活動は広がっていった。岩田さんは、支援活動を通じて新たな仲間と出会うたびに、「コロナという大節を見せることで、神様は何らかのメッセージを私たちに下さっている。この節から、いつか必ず芽が出る。人さまが喜ぶように、今できることをさせていただこう」と思いを伝えてきた。岩田さんは「コロナによって、人々が協力して生活することの重要性を実感!た人が増えたと思う。その輪が広がれば広がるだけ、支援活動も多様になり、困難を抱える多くの人たちに“たすけの手〟が届くようになる。これからもハワイの地でたすけ合いの輪〟を広げていきたい」と話している。文=杉田祥太郎ワクチン接種会場として教会の一角を提供したハワイのコロナの影響昨年3月、ハワイで初のコロナ感染者が報告された。ホノルルでは、クラスター発生の温床となりやすいバーやナイトクラブが閉鎖、レストラン内での飲食を禁止とする命令が出された。さらに3月25日からは、ハワイ州で外出禁止令が発出。観光業が主産業のハワイは、ロックダウンによって大打撃を受け、失業率は一時、29%に上った(米労働統計局)。