天理時報2021年9月5日号8面
TenriSports[天理スポーツ]天理高柔道部男子天理高ホッケー部男子共にインターハイ3位入賞天理高校柔道部男子の団体・個人と、天理高ホッケー部男子は、7月24日から8月24日にかけて北信越地方などで行われた「全国高校総合体育大会(インターハイ)」で、それぞれ3位入賞を果たした。チーム一丸となって今年度の高校柔道は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、春の「全国高校柔道選手権大会」は個人戦のみの開催となり、その後の「金鷲旗高校柔道大会」は中止を余儀なくされた。こうしたなか、天理高の部員たちは、「日本一」を目標に掲げ、チーム一丸となって稽古を重ねてきた。インターハイ当日。初戦を難なく勝利し、続く2、3回戦を2-1で制すと、準々決勝では一昨年の覇者・国士舘高校(東京)と対戦。全国屈指の強豪を相手に2-0で勝利を収め、準決勝へとコマを進めた。崇徳高校(広島)との準決勝では、ここまで先鋒を務めた尾方蓮選手(3年)に代わり、小幡礼希選手(2年)が出場し、「内股」で「一本」を奪う。この後、次鋒と中堅が相次いで敗れ、後がなくなったが、副将の平見陸主将(3年)が一本勝ちし、同点に追いつく。しかし、続く大将戦で惜しくも敗れ、3位入賞となった(写真)。平見主将は「『日本一』を目指して練習してきたので、とても悔しい。後輩たちには、来年のインターハイでの優勝を期して、自分たちの分まで頑張ってほしい」と話した。なお、個人戦には7選手が出場し、平見主将が100㌔級で3位入賞を果たした。意識改革で士気高め天理高校ホッケー部男子は、昨年末の選抜大会ではベスト8に終わり、悔しい思いを抱えたまま新チームがスタートした。丸山奏キャプテン(3年)は「練習中の雰囲気を大きく変えなければ」との思いから、チームの意識改革に着手した。キャプテンを含むリーダー5人が中心となり、常に実戦の意識を持って練習に臨めるよう、チームの士気を高めてきた。目標には「インターハイ」「国民体育大会」「選抜大会」のすべてを制す3冠達成を掲げ、まずは最初の大会であるインターハイ優勝を目指した。そのインターハイでは、初戦と準々決勝を大差で勝利し、島根県立横田高校との準決勝へ。第1クオータ-で先制点を奪われた天理高は、果敢にゴールを狙うが得点できず、時間が過ぎていく。第3クオーター終了間際、田中翼選手(同)のフリックシュートで同点に追いつくと、第4クオーターでは両校が1点ずつ奪い合い、同点のまま試合終了。延長のシュートアウト戦にもつれ込んだが、天理高は1-3で敗れ、3位入賞となった(写真)丸山選手は「『3冠』の目標を逃したのは悔しいけれど、まずはインターハイで入賞できたことを喜びたい。この夏は、見つかった課題をしっかりと修正し、次へ進みたい」と話した。文芸連載小説ふたり星の降る夜は作/片山恭一画/リン前話のあらすじトトのお葬式から数日後、ツツ、サユリさんがやって来た。ツツはカン、サユリさんふたりの心の傷は深かった。第33話どっちを選んだ?坊さんのお経は、永遠に終わらないのではないかと思えるほど長かった。どうして人が死ぬと、こんなに人が集まるのだろう?動物はたいてい自分だけで死んでいく。ほかの仲間に弔ってもらう必要などない。犬もそうだ。人間は大勢で分担しないと、一つの死を受け止めきれないのかもしれない。誰かが小声でトトの最期について話していた。溺れかけた若者を助けるために、水を掻いて救助に向かったらしい。半ば意識のない若者をサーフボードに乗せて岸をめざした。しかし離岸流と呼ばれる、沖へ向かう危険な潮の流れにつかまってしまった。トトは背が高かった。普通の大人とくらべるとボール一つぶんくらい高かったはずだ。大きな手を、わたしはおぼえている。その手で懸命に水を掻くトトの姿が目に浮かんだ。最後に力尽きて、もうダメだと思ったとき、何を考えただろう。あとに残される家族のことだろうか。それとも最後まであきらめずに流れと闘いつづけたのだろうか。ハハが簡単な挨拶をした。カンは無表情情だった。トトがいなくなったことに気ががつかないふりをしているみたいだった。棺棺を乗せた車に、トトの写真を抱えたハハとカンが乗った。わたしもカンの足元に付き添った。彼らはこれから、自分たちの一部をトトと一緒に葬ろうとしているのだ。葬儀のあと、夜中にカンは長く目を覚ましていることがあった。わたしには、あの子の考えていることが手に取るようにわかった。それは誰も知らない、わたしたちだけの秘密だった。「どっちを選んだ?」何げない問いが、ときには恐ろしいものになる。一つの凶悪な問いが取り憑いて、カンを喰い殺そうとしているように思えた。「トトのお葬式か、ツツたちのお葬式か、もし選べたとしたら、どっちを選んだ?」間違ったのではないか。一生に一つきりの願い事を誤ったのではないか。助けることができた、とカンは思っている。しかしあの子は自分の父親を助ける代わりに、友だちと家族を助けた。それは正しいことだったのだろうか?いっそ別の世界で、別の人間になりたいと思ったかもしれない。しかしカンはいつもカンであり、世界はこの世界だったので、わたしたちは歩くことにした。足が痛くなり、身体がくたくたになれば、心は少しだけ軽くなる。いつかトトが話していた。地球は太陽に向かって落ちている。墜落しないのは遠心力のおかげだ。わたしたちも落ちている。宇宙のなかを落ちつづけている。歩きまわることで、なんとかここにとどまろうとしていた。