天理時報2021年8月22日号8面
ひまわり畑満開耕作放棄地を再生天理大生と住民で夏空のもと、天理に満開の〝ひまわり畑〟理大学の学生有志と天理市杣之内町自治会の住民たちが共同で育てた一面のひまわり畑が大輪の花を咲かせ、7月30日に「そまのうちひまわり畑一番のりイベント」が行われた。当日は地域の子供たちが訪れ、2メートルほどの丈に育ったひまわり畑に分け入り、〝天理の新名所〟を満喫していた。これは、天理大のある柚之内町自治会から、「20年ほど使用していない耕作放棄地に、ひまわりを咲かせたい」との提案を受けて実現したもの。谷口直子・同大学准教授(人間学部人間関係学科生涯教育専攻)学生有志が中心となって「ひまわりのチカラ実行委員会」を立ち上げ、親里競技場西側の耕作放棄地(約800平方メートル)で、今年2月ごろから準備を進めてきた。5月には杣之内町の地域住民ら約40人が集まり、約6千粒のひまわりの種を植えつけた。種の一部は、福島県内のNPO法人チームふくしま「ひまわり里親プロジェクト」から取り寄せたもの。東日本大震災から10年の節目を迎えたことから、今回のひまわり畑の造成には、地域の防災意識を高める気持ちを込めたという。当日は、ひまわりの生育に携わった地域住民や子供たちが畑を散策。同大学馬術部で飼育しているポニーの「天天」も来場し、写真撮影に興じる人も。実行委員長の髙井直輝さん(3年)は「当初予定していた売店やワークショップなどはコロナ禍の影響で中止になってしまったが、子供たちが楽しむ姿を見られて良かった。今年の経験を生かし、これからもこの活動が続いていけば」と話した。なお、ひまわりの後は、菜の花の種を蒔く予定だと左記QRコードから、学生たちがひまわりを生育する姿やイベントの様子を見ることができます。天理大生を中心に、約6千粒の種で育てたひまわり畑が満開を迎えた身の丈を超えるひまわり畑を走り回る子供たち文芸連載小說ふたり星の降る夜は作/片山恭一画/リン前話のあらすじ夏休みのある日、カンの父トトが亡くなった。カンは、失意のあまり、以前のような〝道迷い〟が再発する。カンと同様に、ハハも大きなショックを受けていた。第3話一週間後の結婚記念日何日かして、ツツが店にやって来た。トトのお葬式のときにも両親と一緒に顔を出したけれど、カンやハハと言葉を交わすことはできなかった。ドアを開けた相手を、彼女はちょっと怯えたような目で見た。「怖がらなくていいのよ」。ハハはやさしく言った。「さあ、どうぞ。入ってちょうだい。いまパンが焼けたところ。持って帰ってみんなで食べてね」「あの、おばさん………」「悲しいときは美味しいものを食べるのがいちばん」でも本人はほとんど食べなかった。自分が焼いたパンも、それ以外のものも。わたしはいつものように食べていたけれど、味はわからなかった。うまいともまずいとも思わず、ただ空腹を満たすために食べていた。カンはどこにもいない場所にいるみたいだった。そのためツツは声をかけることができなかった。かけても届かないと思ったのかもしれない。わたしは二人を笑わせたかったが、犬にそうした芸当はできない。「心が弱っているときは、身体が喜ぶことをするのがいちばん」。ハハは自分に言い聞かせるように言葉をつないだ。「悲しみを癒やすことはできないけれど、お腹を空かしている人のために美味しいパンを焼いてあげることはできる。そうやって悲しみも癒えていくのかもしれないね」何日かして、今度はサユリさんがやって来た。「お酒を飲んでいたらしいの」。抑えた声でハハは言った。「ビールを飲んで泳いで溺れたなら自業自得じゃない。理不尽よね。そんな人を助けるために、うちの人が命を落とすなんて」サユリさんは何も言わずに頷いた。それからハハの淹れたコーヒーをそっと口に運んだ。少しでも音をたてたら、世界が爆発してしまうかのようだった。二人はとても近いけれど、とても遠くにいると感じられた。「結婚記念日だったの。あと一週間ほどしたら……レストランまで予約してくれていたのに」サユリさんはテーブルの上でハハの手を握った。涙を流しているのは彼女のほうだった。わたしは一瞬、二人の女性の見分けがつかなくなった。「先に進んだほうがいいのはわかっている。でも進めないときがあるのね。まるで嵐のなかに立っているみたいに、どうしても前を向けないときが」「また来ていい?」。サユリさんがたずねた。「ええ、いつでも」。そう言って、ハハは寂しそうに微笑んだ。「ツツもフウちゃんも一緒にね。カンも喜ぶと思うわ」ハハはこれ以上ないというくらい悲しそうな目をしていた。悲しい目をした彼女は美しかった。悲しみが人を美しくするなんて、おかしなことだとわたしは思った。