「人間はじめ出した屋敷やで」―「ぢば」はすべての人間の故郷どんな人でも必ずたすけていただけます。※『稿本天理教教祖伝逸話篇』……信仰者一人ひとりに親心をかけ、導かれた教祖のお姿を彷彿させる二百篇の逸話が収められていて、教理の修得や心の治め方について学ぶことができます。河内国柏原村(現・大阪府柏原市)の山本利三郎さんは、二十一歳のとき、村相撲を取って胸を打ち、三年間も病の床に伏していました。命旦夕に迫った明治六年夏のこと。同村に働きに来ていた人を通じて「大和の生き神様」の話を聞き、父親の利八さんが代参して、教祖(天理教教祖中山みき様)からお言葉を頂きました。「この屋敷は、人間はじめ出した屋敷やで。生まれ故郷や。どんな病でも救からんことはない。早速に息子を連れておいで……」これを聞いた利三郎さんは、「大和の神様へお詣りしたい」と言いだしました。「とても大和へ着くまで持たない」と、家族の者は止めましたが、あまりに切望するので、戸板を用意してひそかに門を出ました。途中、竜田川の大橋まで来たとき利三郎さんの息が絶えてしまい、一旦は引き返しました。しかし、家に着くと不思議と息を吹き返し、「死んでもよいから」と言うので、水盃を交わして、夜遅く、また戸板をかついで大和へと向かいました。