天理時報2022年12月21日号3面
【「戦」の年を振り返る – 視点】今年の世相を表す「今年の漢字」が「戦」に決まった。また、米誌『タイム』恒例の「今年の顔」には、ウクライナのゼレンスキー大統領が選ばれた。思い返せば、昨年の今ごろ、1年後の世界がこのような事態になっていると誰が想像できただろうか。21世紀の世界で、部族間の“衝突”や国家間の“紛争”を超えた、一方的な侵略に端を発する“戦争”が現実のものとなったのだ。寒さと飢えに耐え忍びながら、なんとかこの冬を生き延びようとする数多の人々がいる。暗闇に身を潜めつつ待ち続けるのは、「敵」の撤退と「味方」による救援だろう。「戦」は、常に「敵―味方」の構図をなす。「われわれ」と「彼/女ら」の対立が、あらゆる「戦」の根底にある。より正確には、「彼/女ら」を“敵”と見なすことで、“味方”としての「われわれ」が立ち上がると言うべきだろう。この図式は、実は人間社会の――さらには言語の――本質的な特徴にほかならない。「敵―味方」とは言わずとも、「われわれ」の自覚は、「われわれではない存在=他者」の意識とともに生起するのだ。教祖は、世界一れつは「きょうだい」であり、他人というものはない、と教えられた。それは、親神様の「こども」としての人間が「をなしたまひい(同じ魂)」を与えられ、また、身体をかしものとして与えられているからである。そして、人間がこの真実を知れば「むほん(謀反)」の根は切れ、「よふきづとめ」に取りかかれば「たゝかい(戦い)」も治まるとも教えられている(おふでさき13号43‐51)。先の図式からすれば、これは、「敵」や「他人(他者)」との関係で「われわれ」を捉える視点から、「をや」との関係性において「われわれ」を想像する視点への転換を迫るものと言えよう。つまり人間は、「敵―味方」の構図で「われわれ」を捉えるのではなく、むしろ「をや―こども」の構図で、「きょうだい」としての「われわれ(人間)」を自覚することが求められているのではないだろうか。来年こそ「戦」が収まった、世界の“新しい景色”が見られることを望みたい。(島田), 【お道の精神で地域に尽くし – 秋の叙勲・褒章】国家や公共への功労、各分野での優れた行いに対して贈られる秋の叙勲・褒章が先ごろ発表された。お道の教えを指針として、地域社会に長年尽くしてきた教内の受章者を紹介する。「お道好きな子に」をモットーに育成瑞宝小綬章三重の中村三藤志さん中村三藤志さん(70歳・礫分教会長・南伊勢町)は、長年にわたり教育活動に力を尽くした功績が認められ、「瑞宝小綬章」を受章した。昭和50年、開校2年目の天理教校附属高校へ赴任して以後、天理教校親里高校(当時)、天理教校学園高校の英語教師として43年奉職。そのうち、11年間は校長を務めた。在職中は「お道が大好きな子に育ってほしい」をモットーに、海外研修などを通じての国際性の涵養や部活動の発展に尽力。平成17年に「奈良県知事表彰」、22年に「文部科学大臣表彰」を、それぞれ受けた。中村さんは「中山善衞・三代真柱様から頂戴した『私の代わりにとの思いで』というお仕込みを常に心に置いてきた。今回の受章は私一人に頂いたものではなく、これまでに関わったすべての教職員へのご褒美と受け取っている」と話した。周囲とたすけ合い教育・保育に尽力瑞宝双光章奈良の栗木裕幸さん栗木裕幸さん(71歳・葛城川分教会長・大和高田市)は、長年にわたる教育や保育活動の功績から、「瑞宝双光章」を受章した。昭和52年、上級教会が運営する「よのもと保育園」で勤めるようになり、教育、保育について一から学んだ。54年、先代の後を受け園長就任。以来、職員や保護者が一丸となって“人と仲良く、心豊かに、たくましく生きる”というスローガンのもと、子供の育成に尽力してきた。平成21年、奈良県保育協議会会長に就任。28年「藍綬褒章」を受章した。栗木さんは「これまで折にふれ、周囲の人たちにお道の教えを伝える中で、自他共に成人させていただけたと思う。これからも周囲とたすけ合いながら、子供たちの育成に携わっていきたい」と語った。(中和大・鵜山社友情報提供)互いの信頼のもと更生保護に努め藍綬褒章宮崎の吉田博之さん吉田博之さん(78歳・日州分教会教人・門川町)は、長年にわたり保護司として地域の更生保護に従事した功績を称えられ、「藍綬褒章」を受章した。平成7年、町内の中学校のPTA会長を経験していたことから、同町の教育長に推薦され、保護司の委嘱を受けた。対象者と向き合う際は、傾聴を心がける。互いに信頼できる関係づくりを大切にしつつ、犯した罪の大きさを自覚し、立ち直っていけるよう支援してきた。これまで、延岡地区保護司会理事や同地区保護司会門川支部長などを務めた。吉田さんは「次第に立ち直っていく対象者の姿から、私自身も『信じることで必ず変われる』ということを学んだ。これまで続けられたのは、仕事仲間や妻の支えはもちろん、何より親神様・教祖のおかげにほかならない」と述べた。(宮崎・鈴木社友情報提供)“傾聴の精神”で青少年に向き合う藍綬褒章東京の髙橋和夫さん髙橋和夫さん(77歳・千山分教会前会長・世田谷区)は、長年にわたり保護司として更生保護活動に尽力した功績を称えられ、「藍綬褒章」を受章した。平成9年、地元保護司からの推薦で委嘱を受けた髙橋さん。以来25年、常に“傾聴の精神”で対象者に向き合うことを心がけ、罪を犯した青少年たちの更生に努めてきた。現在、東京教区三連盟(教誨師・保護司・民生児童委員連盟)の委員長を務める。一昨年には「法務大臣表彰」を受けた。髙橋さんは「長年にわたり保護司を続けられたのは、ひとえに地域の支えがあってこそ。そのご恩に報いるべく、これからはおたすけの心で対象者たちに寄り添うとともに、地域に貢献できる活動を積極的に推し進めたい」と話した。(牛込大・古谷社友情報提供)ひながたを頼りに社会復帰に注力藍綬褒章東京の飯島靖さん飯島靖さん(78歳・島髙分教会長・豊島区)は、25年にわたり保護司として更生保護に取り組んだ功績を認められ、「藍綬褒章」を受章した。平成9年、同じ支部内の教会長に推薦され、委嘱を受けた。以来「教祖のひながたを実践する」をモットーに、対象者の社会復帰に注力した。また、12年には里親活動を開始。令和元年に「法務大臣表彰」を受けた。飯島さんは「活動を通じて、教祖のひながたに、より一層思いを馳せることができたように思う。これからもひながたを頼りに、人だすけに邁進していきたい」と語った。