戦火の終息を祈り、キーウ・バレエ復興に日々を捧げて – 寺田宜弘 キーウ国立バレエ団・副芸術監督
11歳で旧ソ連の国費留学生としてキーウ国立バレエ学校に入学し、卒業後はキーウ国立バレエ団へ。以来、この街で35年間、バレエの発展に力を注いできた寺田宜弘さん。現在はウクライナ国外から教え子や仲間のダンサーを支援しています。
「すきっとした気分で暮らすために」をコンセプトに、さまざまな分野の第一線で活躍する人々の生き方・考え方を紹介する雑誌『すきっと』の最新号から、そんな寺田宜弘さんへのインタビューの一部を紹介します。
すきっと Vol.39 いまを生きる
ウクライナの主な都市には必ずオペラ・バレエ劇場があり、バレエや音楽が盛んです。なかでも「ゴパック」という民族舞踊がよく知られています。本当に素晴らしい民族文化だと思います。
私の仕事は、世界の人と一緒に仕事をしないといけない。そんな中で、私が一番大事にしてるのは日本人としての誇りです。これなくして、世界の人々と対等に渡り合うことはできない。そのためにも、日本の文化について知ることは必須だと思います。
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おかげさまで、七月のキーウバレエ公演は成功しました。戦争が始まって、ずっとキーウバレエ団として活動することができなかった。それが初めてできたのが、この日本だった。日本人として本当に喜ばしい話です。
どの会場も、ほぼすべての席が埋まりました。これまでは考えられないことでした。日本の人たちに聞いてみると、「大きなことはできません。けれども、こうしてチケットを買うことが、少しでもウクライナの人たちのためになるのであればうれしいですね」。こんな温かい気持ちを持ってくれる日本の皆さんに本当に感謝です。
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バレエは言葉を使いません。その代わり、表現するのです。バレエというのは美しいラインだけではだめで、プラス、自分の心で何を思っているのか。この二つの要素が一つになって本当の芸術になるんです。それが本当のクラシックバレエなんです。心は豊かでも、肉体が美しくなければだめ。この両方の要素を兼ね備えているのがウクライナ人です。だから、本当に世界の人々に愛されている。このウクライナの芸術がずっと続いてほしいと世界中の人々が望んでいるのは、そういうところだと思います。私は一人の芸術家として、芸術の力を借りて一日も早く平和なウクライナに戻ってほしいと心から願っています。
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