天理時報オンライン

今度は自分が子供に伝える番


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大鷲和由(北播磨分教会長・40歳 兵庫県西脇市)

一般のよふぼく家庭に生まれ育った私は、教祖百三十年祭に向かう三年千日のさなか、不思議なご縁から教会長のお許しを戴きました。

天理医学技術学校を卒業し、滋賀県の病院で勤務していた当時、医療よふぼくという自覚はあったものの、私たち夫婦はだんだん信仰から遠ざかりつつありました。

そんな私たちに、当時の会長さんは出直される前月、上級の会長さんと共に、「教会をお願いしたい」と声を掛けてくださったのです。思いがけず身に迫った重大な節目に、初めは「なぜ、後継者の立場ではない私たちなのか」と思案しました。しかし、教会役員である妻の両親の助言もあり、何も分からぬながら、神様のお導きに身を任せたのでした。

会長就任当初はいろいろ大変なことがありましたが、「一つひとつ順々に、神様が先回りしてご守護くださっている」と感じられるようになり、結果として、私たちの運命は大きく変わったように思います。

私の信仰に大きな影響を及ぼしたのは、5年前に出直した母親の姿です。私が幼いころ、ある事情から入信した母は、とても熱心に信仰していました。まだお道をよく知らない私にとって、そんな母が疎ましく思えた時期もありました。

母は60歳のとき、大きな病気を患いました。病状が差し迫り、最期を迎えるまで、母は「ありがたい、ありがたい、この道は間違いない道。陽気ぐらしさせていただいた」とつぶやいていました。そんな、ありのままの今を喜ぶ真の「たんのう」の心で出直していく姿に、私もいつしか「この道は本当に“真実の道”なのだ」と考えるようになったのです。

教祖が身をもってお示しくだされたこの道を、身近な母を通して教えていただき、今度は自分が子供に伝える番だと強く思っています。

私自身がそうであったように、身近な存在だからこそ、言葉や文字で表しきれない信仰を伝えることは非常に難しいと感じます。そこをあえて、年ごろになる長男に、教祖百四十年祭までによふぼくになってもらうことを心定めの一つとしました。

親神様・教祖はもちろん、親や周囲の方々の恩を受けて、いまの結構な自分があります。この三年千日はご恩返しの時です。親が通ってくれたように、自分自身が感謝し、満足した日々を一歩一歩積み重ねていく態度が実となり、次の世代へ道が続いていくと信じ、先を楽しみにつとめていきたいと考えています。