三年千日“歩み出しの年”一手一つに各地で実動 – ひのきしんデー・各地会場
教祖140年祭へ向かう三年千日の“歩み出しの年”の立教186年「全教一斉ひのきしんデー」。当日は、日本列島を覆う低気圧の影響で、全国的に曇り空が広がり、一部地域では雨天となったが、各地の海岸、公園、景勝地、公共施設などで、ひのきしんに汗を流す教友たちの笑顔が見られた。
名勝・五稜郭で清掃 – 北海道・函館支部
北海道の南端に位置する函館市。古くから道内の“玄関口”として栄え、文化的な価値の高い史跡が多くある。なかでも、戊辰戦争最後の戦い「箱館戦争」の舞台として知られる名勝「五稜郭公園」は、春には約1600本のサクラが一斉に咲き誇ることから、多くの観光客が訪れる人気スポットだ。
北海道教区函館支部(内田誠司支部長)は「デー」当日、五稜郭公園の松林で、松ぼっくり拾いのひのきしんを実施、204人が参加した。
同支部が同公園でひのきしんを始めたのは昭和7年の第1回「全国一斉ひのきしんデー」から。当時、公園周辺は荒れた湿地帯で、不法投棄されたごみが溢れていたという。
こうしたなか、38年には市の要請を受け、青年会員が中心となって荒れ果てた湿地帯へ土を運んで整地し、約2000本の松の苗木を植樹。平成21年の「デー」からは、同公園管理事務所の要請を受け、松ぼっくり拾いを続けてきた。
一面に青空が広がった当日、さわやかな春風による桜吹雪のなか、軍手を着けた参加者たちは、松ぼっくりや枯れ枝を丹念に拾い集めた。
参加者の一人、嘉義俊子さん(75歳・北稜分教会教人)は「久しぶりに顔を合わせる教友が多く、勇み心が湧いて、清々しい思いでひのきしんができた。年祭活動の旬に、感謝の心でひのきしんに取り組み、少しでも徳を積ませてもらえるような生活を意識したい」と話した。
内田支部長(61歳・松風分教会長)は「教友が勇んでひのきしんに励む様子に、一手一つの姿を垣間見ることができた。教祖140年祭に向け、管内の教会や教友の心定めを完遂する後押しになるような活動を展開していければ」と語った。
海岸の美化70年以上続け – 千葉・銚海支部
関東・銚子半島の最東端に位置する「犬吠埼」。近年、多くの観光客が訪れるこの地域は、日本一早く日の出が見られるスポットとして知られる。その岬に立つ「犬吠埼灯台」は「世界灯台100選」に選ばれている。
千葉教区銚海支部(原雅人支部長)は、犬吠埼周辺の君ヶ浜海岸(銚子市)を会場に「デー」を実施。74人が参加した。
70年以上にわたり灯台周辺の清掃を継続してきた同支部。コロナ禍により、大勢が1カ所に集まっての活動は中止を余儀なくされたが、感染状況が収まってきたことから、今年は4年ぶりに会場を設けて実施した。
午前10時、ごみ袋を手にした教友たちは、灯台周辺の除草作業に勤しんだほか、海岸に漂着した流木やプラスチックごみなどを拾い集めた。約1時間半の作業で回収したごみや雑草は、45リットル入りのビニール袋約50袋分に上った。
家族4人で参加した山口希さん(49歳・香取分教会ようぼく)は「管内に所属教会はないが、ひのきしんデーや支部行事を通じて、これからも管内の教友とのつながりを強めていきたい」と笑顔を見せた。
原支部長(42歳・銚子港分教会長)は「コロナ禍で長らく会えなかった大勢の教友と顔を合わせることができ、とてもありがたかった。今後も管内の教会と協力しながら、教友が楽しんで信仰できるような行事を開いていきたい」と話した。
「川中島」史跡で除草ひのきしん – 長野・更埴支部
武田信玄と上杉謙信の一騎打ちなど多くの伝説を残す「川中島の戦い」。現在は「川中島古戦場史跡公園」として、市民の憩いの場となっている。
長野教区更埴支部(吉池三千朗支部長)は川中島古戦場史跡公園で実施した。
「デー」に向けては、『天理時報』手配りひのきしんの際に、チラシを添えて投函し、参加を呼びかけた。
当日は、管内の教友83人が参集。ごみ袋を手に公園内に散らばり、広場や植え込み、通路などで除草ひのきしんに汗を流した。
参加者の一人、滝沢忠さん(44歳・洋明分教会ようぼく)は「普段は仕事で忙しく、なかなかひのきしんをする機会がないので、勇んで参加した。これを機に、小さなことからでも日々のひのきしんを心がけたい」と語った。
吉池支部長(49歳・稲荷山分教会長)は「今年は若い人が増えたように思う。教祖140年祭に向け、管内の教友同士のつながりをより強めていきたい」と話した。
一布教師の実践を受け継ぎ – 愛媛・松山南支部
愛媛教区松山南支部(西山勝志支部長)は、伊予市の「五色浜公園」で除草作業とごみ拾いを行った。
五色浜には、源平の戦に敗れた平家の5人の姫が海に身を投じ、5色の石になったという伝説が残る。夏には海水浴客やビーチバレーの観客でにぎわう。
この地域でのひのきしんの始まりは、59年前に遡る。単独布教をしていた一人の布教師が、五色浜で草抜きひのきしんを続けていた。その姿が波紋のように広がり、昭和46年からは「デー」の会場となり、今日まで連綿と続いている。
当日は雨。66人の参加者が海岸に隣接する公園内で除草作業に取り組み、海岸沿いのごみ拾いに努めた。
西山支部長(66歳・郡中分教会長)は「一布教師の思いを、今年も受け継ぐことができた。雨の中でも支部につながる教友が参加してくださり、教祖140年祭に向けて良いスタートが切れたと思う」と話した。
小雨降るなかも – 広島・三原支部
広島教区三原支部(佐藤明支部長)は、三原市の特別養護老人ホーム「三原慶雲寮」で清掃活動を行った。
午前9時半、小雨が降るなか集合した教友66人は、施設の非常階段を掃き掃除し、手すりや1階部分の窓を拭き上げた。また、敷地内の除草作業にも取り組み、軽トラック1台分の雑草を集めた。
この日、施設職員も共にひのきしんの汗を流した。末久昭人施設長(66歳)は「手の行き届かないところも、しっかりときれいにしてくださる皆さんの活動に、とても助けられている。私どもにとって、待ちに待った“恒例行事”になっている」と喜んでいた。
施設内の隅々まで – 福岡・遠賀支部
福岡教区遠賀支部(牧野伸司支部長)は、芦屋町の障がい福祉サービス事業所「みどり園」で清掃作業に取り組んだ。
午前10時、激しい雨のなか144人が参集。施設内の窓や床、テーブルなどを入念に磨き上げたほか、トイレや換気扇、空調設備の清掃を行った。
参加者の中には、同施設の職員の姿も。「デー」の回数を重ねるうちに、ひのきしんに勤しむ教友の姿に感化され、休日にもかかわらず一緒に清掃を手伝うようになったという。
桐田典彰施設長(61歳)は「天理教の皆さんが、家族ぐるみで喜んで清掃に励む姿に、いつも心打たれる。施設の職員だけではなかなか手の届かない所が多いが、隅々まできれいに清掃してくださり、本当に助かっている」と話した。
献血活動40年以上続け – 静岡・西駿支部
静岡教区西駿支部(杉岡信宏支部長)は、焼津市のイオン焼津店駐車場で献血ひのきしんに取り組んだほか、施設入り口で献血協力を呼びかけた。
同支部は40年以上にわたり「ひのきしんデー」に合わせて献血活動を実施している。また、昨年9月の台風15号による水害の際には災救隊が出動するなど、地域に根ざしたひのきしん活動を行っている。
今年の「デー」に向けては、献血協力を呼びかけるポスターとチラシを作成し、支部例会で配布。管内の各教会に呼びかけ、協力者を募った。
「献血協力お願いしまーす!」。幼いころから同支部の「デー」に参加しているという桑高楓華さん(10歳・駿遠分教会長子弟)は、朝から元気いっぱいに買い物客へ声をかけた。
呼びかけに応え、買い物帰りに献血を申し込んだ50代女性は「献血するのは久しぶりですが、元気な子供の声に背中を押され、『献血で人の役に立ちたい』と思いました」と話した。
この日、63人の申し込みがあり、400mlに55人、200mlに2人が協力した。
同支部福祉部献血担当者の桑高真之さん(46歳・駿遠分教会長)は「コロナ禍以降、献血に足を運ぶ人が少なくなっている。輸血を必要とする人が一人でも多くたすかるよう、これからも活動を続け、教内外を問わず多くの人に声をかけていきたい」と語った。