ようこそ“第二の故郷”天理へ ウクライナ避難民を受け入れ
天理大卒業生オクサーナさん、子供二人と共に
ロシア軍のウクライナ侵攻に伴い、多くのウクライナ人が国の内外へ避難している。日本でも各地で避難民を受け入れるなか、天理大学(永尾教昭学長)は天理市と連携し、同大卒業生のコベリャンスカ・オクサーナさん(45歳)とその子供二人を受け入れた。オクサーナさん一家は4月13日、天理市に到着。15日には、オクサーナさんと永尾学長が並河健市長らを表敬訪問した。
オクサーナさんは、1995年から99年にかけて天理大国際文化学部日本語学科(当時)で学んだ。
その後、天理大は2003年にウクライナ国立キーウ大学と学術交流協定を締結。以来、交換留学生や夏期日本語講座受講生など多くのウクライナ人学生を受け入れてきた。
オクサーナさんは天理大を卒業後、ウクライナの大学で教員として勤めていたが、先ごろウクライナがロシアによる軍事侵攻を受けたことから、幼なじみがいるデンマークに一時避難することになった。
1カ月ほど現地で避難生活を送るなか、祖国が侵攻される悲しみや不安、言葉が通じないストレスなどを募らせ、見通しのつかない生活に悩んだ。今後の避難場所に頭を悩ませる中で「学生時代、天理大学で4年間学んだことから、“第二の故郷”である天理のことが心に浮かんだ」という。
早速、大学時代の恩師である日野貴夫・同大准教授に連絡。日野准教授の働きかけで、天理大と天理市が連携してオクサーナさん家族を受け入れることが決まった。
天理大と天理市は2014年、包括的連携協定を締結。以来、さまざまな事業を共同で展開してきた。
このたびオクサーナさん一家の受け入れに当たっては、市が市営住宅を無償で提供するほか、当面の間の水道料金や光熱費などを負担する。
一方、天理大は、オクサーナさんがウクライナの大学で教員を勤めていたことから、職員として雇用するなどの就労支援を検討している。
また、日本語を学ぶ意思のあるオクサーナさんの長女(20歳)と長男(17歳)を、同大の学生として学べるようにする修学支援を進める予定。日本人学生が留学生を直接サポートするチューター制度を通じて、同大の学生も支援に携わる。
支援に感謝の気持ちを伝え
オクサーナさんは4月13日に来日。天理市に到着すると、本部神殿で参拝し、「無事に来日できたことへのお礼と、祖国の平和をお祈りした」と話す。
15日、同大を訪問し、永尾学長らに面談した。この後、並河市長や生活物資の提供などに携わった企業の関係者と市役所で面会。「皆さんの支援に心を込めて感謝の気持ちを申し上げたい」と話した。
続く会見では「“第二の故郷”である天理市に来ることができて、安心した。天理はきれいで静かで安全なので子供たちも喜んでいる。これからは、ウクライナにできる支援を考えていきたい」と語った。
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なお、同大では避難民の受け入れに当たり、「天理大学国際支援募金」を開設した。募金期間は7月15日までの予定。
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会見の様子を動画で視聴できる。